注意!
シズちゃん出て来ません
杏里と臨也さんが話しているだけ。
臨也さん化け物設定
シズ←イザ←罪歌
仮り物アイ
二人の男女が無人の公園のベンチで隣に並んで座っていた。
一人は黒ずくめの男と、一人は制服に眼鏡の。胸の大きな少女だった。
人間が好き。
人間を愛してる。
けど、一人は嫌い。
あれは例外的に化け物だ。
ナイフを刺しても刺さらない。
スタンガンも銃もきかない。トラックに突っ込ませたって無理だった。
じゃあ、どう殺せばいいのか俺には分からない。
だから、あるモノにその存在を教えてみた。
何時でも何処にいてもその強い遺伝子を求めているそいつに。
「………困ったな」
「…何がですか」
「まさか罪歌がこんなにも彼を好きになるなんて思わなかったんだよ」
「貴方が最初に言い出したんじゃ…ないですか」
「そうだけどさー…だって罪歌は俺の言葉にあれほど素直に従うなんて思わないじゃないか」
「…罪歌にとって…貴方は全て…です」
「知ってるよ。だって、俺が罪歌の気持ちを分からないはずがない。今だって…君は呑まれそうなんだろ?」
罪歌が自分の中で歌い続ける。
何時もの人間を語る愛とは異なる、たった一人に向ける愛を。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる。
貴方が好き。大好き。その黒髪が私の刃で切れたらどれだけ幸福だろう。あの目が私を映したらそれだけで良いわ。あの身体に流れる紅い血が私を伝えば幸福で昇天してしまうかしら。血管を一つでも裂く事が出来れば私は他の人間を愛せないかもしれない。筋肉の細胞一つ切断出来ればもう他を裂きたくないの。だってその感触を消してしまうなんて許せないわ。ああ、愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる。その流血一つ逃したくないの。
愛してる愛してる…
「知ってて…それでも貴方は罪歌の元に来たんですね。今までずっと…来なかったのに」
「だって罪歌は俺だけしか見ないから。俺は人間すべてを愛しているんだよ。罪歌だって今は人間を愛している。罪歌の生みの親である"俺"が愛しているものを罪歌が愛さないなんて事は無いんだからさ」
臨也は何処からともなくナイフを取り出した。
何時も使う、袖に仕込んだ風に見せかけるナイフ。
其れがいくらへし折れようとも何本も用意周到に準備するみたいにポケットから取り出すナイフの一本。
しかし、臨也は普段ナイフなんて持ち合わせていない。
コートの何処を探しても見つかる事はない。臨也の身体自体にナイフがある。
別にナイフでは無くとも構わない。其れが日本刀であっても、刃と名のつくものであれば臨也は扱う事が出来る。
それは園原杏里が罪歌を身体から取り出す様に。
日本刀は規格外の大きさゆえに自然体を装う事の出来るナイフを好んで使っている。
罪歌。
人間を愛し、子をなす事を目的としている。
しかし、人間を愛しているものから例外が二つある。
一つは平和島静雄。愛して愛してやまない。しかし、愛し合うことの出来なかった存在。今でも焦がれる存在。
もう一つは折原臨也。罪歌という刀を生み出した本人。罪歌の子供たちは罪歌を母というのと同じように罪歌の親は臨也である。
人間を装い、人間愛を語る臨也。
「シズちゃんも俺が化け物って知ったらどうなるかなー」
「……どうって?」
「同族意識を持つかな?それとも本物の化け物だって俺を殺しにかかるかな」
「……分かりません」
「どっちでも良いんだけどね。だって俺はただ人間が愛しくてその中で例外であるシズちゃんが嫌いで仕方ないんだから」
「だから…罪歌と愛し合う、かもしれないと思ったんですか?」
「いや、思わなかった」
「……え?」
臨也の言葉に杏里は固まった。
最初に強い遺伝子という言葉で一人の存在を教えたのは臨也だった。罪歌に語りかける様に。
"強い人間と子をなしたいんだろう?なら、アイツが適任さ"
今でも、覚えている。
一人で下校している処を、音もなく現れた黒ずくめの男。一度だけ見覚えのある折原臨也だった。しかし、薄い印象故に杏里はすぐに思い出す事は無かった。ただ杏里を見る事無く、杏里の中にある罪歌に最初から語りかけてきた人間と思った者。
怪訝な表情を浮かべる杏里に臨也は初めてその存在に気付いた様に何度か瞬きを繰り返し、笑っていた。
「ああ、君は罪歌に呑まれた訳じゃないのか。なるほど…だからここ数年、彼女は大人しかった訳か」
「……貴方は…誰ですか」
「……ただの情報屋さ」
それだけ言うと臨也は去って行った。
ただ、罪歌だけがいつも以上に高らかと愛を語り、抑えるのに苦労したのを覚えている。
それから罪歌の言葉に突き動かされるまま公園に来ると臨也がベンチに座って待ってた。
黒幕と、切りつけた記憶も今でも新しく覚えている。
そんな事すら忘れたように臨也はただ親しげに笑っていた。罪歌の言葉と臨也の言葉で杏里はなんとなく臨也の存在を理解していた。しかし、それでも矢張り他人事のように受け止める自分がいた。
「俺が何度切りつけたと思ってるんだい?それでも何もならなかったんだから罪歌が切った処で愛し合うことなんて出来るとは思ってないよ」
「…なら、なんで教えたんですか」
「…俺がアイツを嫌いだから、罪歌も嫌いになるかと思ったから…実験?」
臨也はただ笑いながら立ちあがった。
罪歌を一度愛しげに見詰めては未練などもう無いと闇に消えていく。
「…ま、その実験は失敗におわったんだけどねー」
闇の中、臨也の声は軽く、どうでも良いという風に響いた。
杏里は臨也の消えた方向を眺めていた。
ずっと、その気配が消えるまで。
腕から罪歌を取り出し、臨也が座っていた場所に刃を突き立てる。
罪歌が温もりに至福を感じたいを煩く続け杏里を強制的に動かした。
「……貴方は。あの人を好きだから…罪歌も……」
額縁の外で、杏里はつぶやく。
その答えに返す者は、人間も、怪物も、誰も居なかった。
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ちょっと他のシズイザを読み漁ってる愛の度の最中に臨也さんが罪歌設定で滾ってしまって思わず書いてしまった…。
後悔はしていない!
