年下君の恋心

 






「せやなぁ。好きか嫌いかって聞かれると、君は嫌いの部類に入るかな」




パンッ!




夕暮れ時の教室に、渇いた音が響いた。





年下君の恋心





「実はバカだろ、お前」


「はい?」


女の子に叩かれた頬を冷やしながら、翔騎は私の言葉を関西独特のイントネーションで聞き返してきた。


「俺がバカて…どういうことや?」


「お前な。告白なんて上手くかわせば良いものを、何であんな風にハッキリ言うんだよ?」


「せやかて、ハッキリ言わんと後々がなぁ…優里は告白されたこと無いから分からんかもやけど。女の告白はな、うやむやにしとくと、厄介なことになるんやで」


軽く貶してくるバカに、とりあえず私は蹴りをくらわせ、新しい濡れタオルを渡す。


「はぁ……そんなんだからお前は、女子の間で変人とか言われるんだよ。まったく、黙ってれば美形だってのに勿体無い奴だ…知ってるか?お前みたいなことを、残念なイケメンと呼ぶんだ」 

「残念やろうと、何やろうと、言われようがかまへんよ。まー俺は、優里だけに美形やって思われとったら十分やさかい」


「あー…そうかい……お前、そういうことみんなに言ってると、また惚れられて面倒なことになるぞ」


「エエよ、惚れても」


意外な返答が返ってきて、私は思わず動きを止め、翔太を凝視する。


「……」


「だって、俺優里大好きやもん」


もん。だとよ。今の言葉を普通の女子が聞いたら発狂ものだな。だが、私は普通の女子みたいに純粋な心など持ち合わせていない。


「………生憎だが、私は年下に恋愛感情は抱かない人間でな」


私は表情を崩さぬよう、平常心を保ちながら、椅子から立ち上がった。


「さてと…もう少し冷やしたら、優太のトコに行って良いぞ。私は部屋に戻るから、まだ痛むようだったら言いに来い。良いな?」


「はーい」



私は氷の入ったボウルをテーブルの上に置くと、リビングを出ていった。






――――一人、リビングに取り残された翔太は独り言を呟く。




「…あーぁ、ホンマに好きなんやけどなぁ」


翔太は思う。何で見てくれないんだろう。と。頭の中で問い掛けても、誰かが答えてくれるわけでもないのに。


「どうしたら信じてもらえるんやろかね……お堅いお姉様は―――?」




そんな翔騎のその言葉が私に届くことはなく、呟きは生活音によってかき消されていった。






(想いを形に。だけどもそれはあまりにも曖昧で幼稚で不完全。だから塊は軈て、爆ぜて、消える)





END





********




スマホの肩慣らしに書いてみました。
これの本編も公開したいなぁ。







完φ(..)
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いじめられっ子と嫌われヒーロー

 




嫌われヒーロー、ここに参上。




〜いじられめっ子と嫌われヒーロー〜






――バンッ!!



誰も居ない放課後の教室。
私は、イジメに遭っていた。


「アンタってさぁ、ほんっとキモいよね」


「こんなの読んで"萌え〜"とか言ってんでしょ?うわっ、マジ最低」


「同じ空気吸いたくないんですけど。ねぇ、もう学校には来ないでくれる?鬱陶しいから♪」


そう言って、いじめっ子の一人が私のカバンの中に入っていた漫画を破り、私の頭に叩き付けてくる。これが私の日常だった。オタクで根暗な私は、言い返したくても反抗出来なくて、ずっとイジメのループに嵌まっている。もうツラいなんて感情もどこかへ消え失せてしまっていた。


とある日常の、一風景。廊下を通る教師も生徒も、私を見ても見ぬフリをしていた。誰も味方なんてしてくれなかった。


でもそれは、ある日いきなり現れた一人のヒーローによって、打ち崩されることになったりするのだが。





「何…してんの?」


唐突だった。私達以外は居ないはずの教室から、誰かの声が聞こえたのだ。私達は、声がした方へ振り向く。するとそこには、肩まで伸びた髪を明るい茶色に染め、制服を着崩した男の子が居た。


「はぁ?誰…お前?」


「え?あー…俺?うーん、通りすがりの一般生徒、みたいな?」


「意味わかんないし。つか、うちらに何の用?」


いじめっ子が訊ねると、不良っぽい男の子は唸り、返答に困っている。


「いや、とくに用ってほどじゃないんだけどさぁ…俺さ、ちょっと小暮茜《コグレ アカネ》ってヤツ探してんだけど、お前ら知らない?」


「小暮…?」


いじめっ子達は、眉間に皺を寄せた。まぁ、それもそうだろう。気持ちは分かる。


「それって…コイツじゃん」



何故なら、男の子が探しているという小暮茜は、今いじめられている私なのだから。足の先で小突かれる私を、男の子はきょとんとした顔で凝視してきた。


「へ…?あ、お前?」


「……」


「成る程ねー…うんうん、確かに、こりゃ大変そうだ…」


男の子は、殴られて口の端しから血を流す私を見て、何かを納得したように何度も頷く。全くワケが分からない。いきなり現れたかと思えば、私を探していると言った男の子。一体何者なのだろう?制服に血が滲むのも構わず、私は考えた。だが、思い当たる節が全く無いので、考えても何一つ浮かばない。


そして、とうとう待つのに痺れを切らしたいじめっ子達は、邪魔な男の子を教室から出ていかせようと、男の子に詰め寄っていった。


「アンタが何の用かは知らないけどさ、うちらと小暮、今取り込み中なわけ」


「そうそう。分かったらさっさと出ていってくれる?」


「取り込み中…ねぇ?」


「………っ」


男の子と視線が合う。でも、私はどんな顔をすれば良いのか分からなくて、つい目を逸らしてしまう。


「……んー…」


男の子は、手を首の後ろにやり、視線を上に向けて考えた。


「…よし。」


そして、また何か自分の中で自己完結したようで、両手をポンッと合わせた。次の瞬間、男の子は手刀を作り、それを正面のいじめっ子の首筋目掛けて。



「えいっ」




――トスッ!




…………落とした。



男の子の突然の攻撃を喰らったいじめっ子は、まるで風船の中の空気が抜けるように崩れ落ち、床に倒れてしまう。よくよく見れば、いじめっ子は気絶していた。


「リエちゃん…!?」


「やだ、どうしたのよっ!?」


左右に居た二人が、混乱した顔で気絶したいじめっ子に駆け寄る。


「あれ、案外口先だけで脆いのな」


「テメェ…何しやがった!?」


いじめっ子が男の子を問い詰める。しかし男の子は涼しい顔で、いじめっ子に言う。


「見てたから分かるでしょ。ちょっと頸動脈を強打しただけだってばー」


軽い口調で話しているが、言ってる内容はそこら辺の人間が出来るような技ではないはずだ。それは武道に詳しくない私でも分かる。


「……小暮、茜」


急に名前を呼ばれた。尻餅をつき、俯いたままだった私は、顔をあげる。男の子は私を見ていて、穏やかな微笑みを浮かべていた。さっきいじめっ子を殴った人と果たして同一人物なのかと、疑ってしまうくらいの優しい笑み。


「茜……俺、斑尾翔《マダラオ カケル》っていうの」


「……」


「俺が君の前に現れた理由、知りたい?」


男の子に訊ねられ、私は妙に緊張して唾を飲んだ。でも、今の現状がどういう事なのか知りたくて、私は、首を縦に振った。


そうすれば、男の子はいじめっ子を放置してこっちに近付いてきて、私の頭をグシャグシャと撫でてくる。


「…ぁ…の……?」


「オッケーオッケー。じゃあ説明してあげる」


男の子の言動も分からないが、行動も全く分からない。というか、何故会ったばかりの男の子に、頭を撫でられなければいけないんだろう。乙女ゲームじゃあるまいし、なんて。そろそろ男の子の事について考えることが面倒臭くなってきた刹那。


男の子は、表情を変えないまま言った。




「俺ね、嫌われ者になるのもそろそろ飽きちゃった。だから、君を利用してヒーローになろうと思ってるんだ」




これが、いじめられっ子私と、嫌われヒーローとの出会いでした。





(日常が変化しました、悪い意味で)
(言われた言葉が何度も頭に響く。だけど、やっぱり意味はわからなかった)







********






なんかふと浮かんできた。
でもザッと書いたから意味不明な作品が出来上がりましたね。
多分消すな。これ。





END

特異体質

 





霊感があるのもツラいけど……霊に好かれる体質なのもちょっと…ってゆーかかなりツラいよね。





〜特異体質〜





天倉螢、職業ノンフィクション作家。


「歩美!」


この人は、霊感がないくせによく霊を捕まえてくる(正確には捕まる)。


「あ、螢さん。」


あぁ、ほら…今日もまたやって来た。


私は螢さんに挨拶をしたあと、チラッと螢さんの足元を見る。


そこには、茶色の髪の毛を可愛く二つに結った幼稚園児の女の子が居た。


だが、その子は決して螢さんの連れ子でも無ければ、親戚の子でも近所の子でも無い。



女の子は、幽霊だった。



「?どうかしたのか?」


「あ、いえ…」


螢さんは、足元ばかり見ていた私を不思議に思ったのか、声をかけてきた(実は螢さんは私に霊感があることを知らない)。


慌てて視線を女の子から螢さんに切り替える。


女の子の霊からは嫌な感じはしないし、きっと放っておいても大丈夫だろう。


「…なぁ歩美、来てるんだったら声をかけてくれても良かったのに」


「すみません…一応顔は出そうと思ったんですけど、螢さん忙しそうだったから。」


「あぁ…ちょっと取材の場所を決めてたんだよ」


「取材、ですか」


ふと、私は視線を螢さんの持っている紙の束を見る。


そこには、以前真冬くんが取材で行った、氷室邸の不気味な写真がプリントされてあった。


「そこ、確か真冬くんが行きましたよね?直接行かなくても、真冬くんに聞けば良いんじゃ…」


出来れば、氷室邸には行ってもらいたくないのが本心だった。


あそこは、真冬くんの妹の深紅ちゃんも行ったみたいなのだが、二人とも、持っていた強大な霊感を失って帰ってきた。


同じ悩み事を持つもの同士、仲が良かったのもあって、私は何があったのかと訊ねてみたことがある。


だけど、二人はそれを聞く度いつも暗い表情になっていた。


あの二人の表情を見れば、幽霊関係なのは一目瞭然だ。


私は何とか止めてもらおうと、一番手っ取り早いアイディアを出してみた。


「あー…確かに。でも実物見た方が仕事もはかどりそうなんだがなぁ」


「そこは頑張ってみましょうよ。ほら、プロは写真や文献だけでも書けるって聞いたことありますし」


「オイオイ、俺はまだ若手だぞ…;」


螢さんは、私のむちゃくちゃな言葉を苦笑いしながら聞く。


大丈夫、もう一押しだ。螢さんが押しに弱い人で助かった。


「私も出来る限り手伝いますから、やってみません?」


「うーん…それじゃあ、歩美がそこまで言うなら」


よし、落ちた。


「じゃあ決まりですね!あ…私、これから違う出版社に行かなきゃいけないので、そろそろ失礼しますね?終わったら連絡しますから」


「あぁ、まぁ歩美も頑張れよ」


「はい、螢さんも色々と頑張ってくださいね」


「あ、あぁ…("色々と"って何の事だ?)」


そうして、私は螢さんと別れると、螢さんの家に持って行く差し入れ何にしようかな…と、考え始めるのであった。





(とりあえず魔除けのお札は持っていこう)
(螢さんに何かあったら大変だもんね…)






********




ずっと前にリゼで書いた零の短編小説を載せてみた。深い理由は無いんだ。

女難の螢さんを書いてみたかったんだよ…女の子しかも幽霊限定で狙われる螢さんにマジ萌えた。




END
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