嫌われヒーロー、ここに参上。




〜いじられめっ子と嫌われヒーロー〜






――バンッ!!



誰も居ない放課後の教室。
私は、イジメに遭っていた。


「アンタってさぁ、ほんっとキモいよね」


「こんなの読んで"萌え〜"とか言ってんでしょ?うわっ、マジ最低」


「同じ空気吸いたくないんですけど。ねぇ、もう学校には来ないでくれる?鬱陶しいから♪」


そう言って、いじめっ子の一人が私のカバンの中に入っていた漫画を破り、私の頭に叩き付けてくる。これが私の日常だった。オタクで根暗な私は、言い返したくても反抗出来なくて、ずっとイジメのループに嵌まっている。もうツラいなんて感情もどこかへ消え失せてしまっていた。


とある日常の、一風景。廊下を通る教師も生徒も、私を見ても見ぬフリをしていた。誰も味方なんてしてくれなかった。


でもそれは、ある日いきなり現れた一人のヒーローによって、打ち崩されることになったりするのだが。





「何…してんの?」


唐突だった。私達以外は居ないはずの教室から、誰かの声が聞こえたのだ。私達は、声がした方へ振り向く。するとそこには、肩まで伸びた髪を明るい茶色に染め、制服を着崩した男の子が居た。


「はぁ?誰…お前?」


「え?あー…俺?うーん、通りすがりの一般生徒、みたいな?」


「意味わかんないし。つか、うちらに何の用?」


いじめっ子が訊ねると、不良っぽい男の子は唸り、返答に困っている。


「いや、とくに用ってほどじゃないんだけどさぁ…俺さ、ちょっと小暮茜《コグレ アカネ》ってヤツ探してんだけど、お前ら知らない?」


「小暮…?」


いじめっ子達は、眉間に皺を寄せた。まぁ、それもそうだろう。気持ちは分かる。


「それって…コイツじゃん」



何故なら、男の子が探しているという小暮茜は、今いじめられている私なのだから。足の先で小突かれる私を、男の子はきょとんとした顔で凝視してきた。


「へ…?あ、お前?」


「……」


「成る程ねー…うんうん、確かに、こりゃ大変そうだ…」


男の子は、殴られて口の端しから血を流す私を見て、何かを納得したように何度も頷く。全くワケが分からない。いきなり現れたかと思えば、私を探していると言った男の子。一体何者なのだろう?制服に血が滲むのも構わず、私は考えた。だが、思い当たる節が全く無いので、考えても何一つ浮かばない。


そして、とうとう待つのに痺れを切らしたいじめっ子達は、邪魔な男の子を教室から出ていかせようと、男の子に詰め寄っていった。


「アンタが何の用かは知らないけどさ、うちらと小暮、今取り込み中なわけ」


「そうそう。分かったらさっさと出ていってくれる?」


「取り込み中…ねぇ?」


「………っ」


男の子と視線が合う。でも、私はどんな顔をすれば良いのか分からなくて、つい目を逸らしてしまう。


「……んー…」


男の子は、手を首の後ろにやり、視線を上に向けて考えた。


「…よし。」


そして、また何か自分の中で自己完結したようで、両手をポンッと合わせた。次の瞬間、男の子は手刀を作り、それを正面のいじめっ子の首筋目掛けて。



「えいっ」




――トスッ!




…………落とした。



男の子の突然の攻撃を喰らったいじめっ子は、まるで風船の中の空気が抜けるように崩れ落ち、床に倒れてしまう。よくよく見れば、いじめっ子は気絶していた。


「リエちゃん…!?」


「やだ、どうしたのよっ!?」


左右に居た二人が、混乱した顔で気絶したいじめっ子に駆け寄る。


「あれ、案外口先だけで脆いのな」


「テメェ…何しやがった!?」


いじめっ子が男の子を問い詰める。しかし男の子は涼しい顔で、いじめっ子に言う。


「見てたから分かるでしょ。ちょっと頸動脈を強打しただけだってばー」


軽い口調で話しているが、言ってる内容はそこら辺の人間が出来るような技ではないはずだ。それは武道に詳しくない私でも分かる。


「……小暮、茜」


急に名前を呼ばれた。尻餅をつき、俯いたままだった私は、顔をあげる。男の子は私を見ていて、穏やかな微笑みを浮かべていた。さっきいじめっ子を殴った人と果たして同一人物なのかと、疑ってしまうくらいの優しい笑み。


「茜……俺、斑尾翔《マダラオ カケル》っていうの」


「……」


「俺が君の前に現れた理由、知りたい?」


男の子に訊ねられ、私は妙に緊張して唾を飲んだ。でも、今の現状がどういう事なのか知りたくて、私は、首を縦に振った。


そうすれば、男の子はいじめっ子を放置してこっちに近付いてきて、私の頭をグシャグシャと撫でてくる。


「…ぁ…の……?」


「オッケーオッケー。じゃあ説明してあげる」


男の子の言動も分からないが、行動も全く分からない。というか、何故会ったばかりの男の子に、頭を撫でられなければいけないんだろう。乙女ゲームじゃあるまいし、なんて。そろそろ男の子の事について考えることが面倒臭くなってきた刹那。


男の子は、表情を変えないまま言った。




「俺ね、嫌われ者になるのもそろそろ飽きちゃった。だから、君を利用してヒーローになろうと思ってるんだ」




これが、いじめられっ子私と、嫌われヒーローとの出会いでした。





(日常が変化しました、悪い意味で)
(言われた言葉が何度も頭に響く。だけど、やっぱり意味はわからなかった)







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なんかふと浮かんできた。
でもザッと書いたから意味不明な作品が出来上がりましたね。
多分消すな。これ。





END