私が研究をしているのは恋愛とか、愛とか答えのないもの。
元々恋とか愛とかに興味はあるといえばあるし、ないといえばなかった。
心理学の延長線上、私の元々の専攻は西洋史学だっていうのに。
選択教科から心理学を選び、西洋史学の研究と一緒に頑張っていたけれど、どちらも私を満たすような答えはでない。
そんなときに出会ったのは同じ心理学の授業を選択しているミスコン3位の謙崎舞という女子だった。
「ねえ、音浅さんって心理学専攻じゃないんでしょ?」
「あえ、あ、え、…え、え、まあ、ハイ」
「そんなにどもんなくてもさ。何処なの?専攻。」
「せ、西洋史…です。」
「西洋史学科?なのになんで心理学…?」
「ちょっと…研究したい、ことが…」
「へぇ、なになに?」
「…こ、恋とか愛とかって、どういうことかっ、て…(こそっ)」
「恋?愛!?乙女ちっくなんだね。」
「そういうわけじゃなくって…純粋に、そういうのに縁がなかったので、純粋に興味で…」
「そういうのなら体感した方がいいよ!」
昼休みに中庭で待ってるね!
と彼女はニンマリ微笑みながら席に戻っていった。
席には沢山のイケメン達が群がっていて、なんだか彼女は遠い存在のようだ。
私は一人だけ年食ってるし、化粧だって上手いとも言えない。
そんな彼女からの誘いを断れず、学食でご飯をかっ食らった後中庭に向かうと、そこにはやっぱりイケメンに囲まれた謙崎さんがいた。
「あ、音浅さんきた!」
「ほう、こいつとデートすればええんじゃな?」
「そゆこと!」
「あの、すいません、話が…見えないんですが。」
「愛とか恋とか研究してるなら実地が一番!好きなのかしてあげるから、やってみなよ!一晩一万円でいいから!」
「…謙崎さんお金に困ってるんですか…?(私も手持ちが…ってそういう問題じゃない…)」
「そういうわけじゃないよ?ただの、慈善事業!」
「慈善事業…」
取り巻きのイケメン達は私をじろじろ値踏みするように見ている。
ああ、うーん、うーん…確かに擬似恋愛が出来るのは美味しいことかもしれない。
研究にも新しい発見が生まれるのかもしれない。
だけども一晩一万円、ただの大学生を借りるというのはモラル的にどうなんだろう。
「あの、せっかくのお申し出なんですが…」
「おもしろいし、いい人ばっかだよ?そこそこイケメンだしっなんで断るの?研究の成果もきっと出るって!」
「いえ、その…なんというか、モラル的にちょっと…」
「モラル?なにそれ、美味しいの?音浅さん研究の為ならご飯以外切り捨てる人って有名だったんだけど?」
「有名?どういう…」
「西洋史の人が言ってたよ?あの人は笑ってばっかりで自分の意見を言わないし、流されてばかりだけど、研究の邪魔だからって自分の好きな人間も音楽もぶった切ったって。」
「まま、まって、なんで音楽…え、私は…」
私の無駄に頑張ったあの生活は何の意味も無かったっていうのか…?
バレてるとは思わなかった、あれか、やっぱヘッドフォン持ってくるのが悪かったのか…
いや、問題は今そこじゃない。
「なんでー?」と首を傾げる謙崎さんを説得するのが先だ。
「いえ、その、私なんかより謙崎さんといた方が彼等も楽しいのではないのでしょうか…」
「私の言うことはよく聞くから音浅さんに悪いことはしないと思うけどなー」
「いえ、その、…えーと」
「ね?ひとまず誰にする?音浅さんの好みって?こんなかだったら!」
「涼しい目元の彼か銀髪の彼か性格ひん曲がってそうな彼…ってだから!」
「ああ、柳か仁王か財前だね!今夜は何か予定あるの?合わせてあげるー」
「ぱ、パソコンのブースターを買いに行きたいですがそんなもん自分で…」
「パソコンの事なら財前にお任せ!財前に決まりね?ざーいぜんっ!今日はアンタだよ?」
「き、今日はってことはこんな事毎回やってるんですか!?」
「気に入った女子にはこうして男貸してあげるよ?」
「その…一晩一万の内訳は?」
「普通は3万とるんだけど音浅さんは特別だよ?いつも3分の1は私の取り分。」
「するてーと普段は一回につき1万の収入ってわけですね?」
「そういうこと!財前は先輩方からカワイイって評判だから競争率高いんだからね?」
「は、はあ…」
出張ホストという話を聞いたことがあるのでこんな話。
謙崎さんが悪い女みたいだ…