2010.2.24 08:32 [Wed]
最高のプレゼント
「ふーみぃ〜、」
ガラリ。
いつもの要領で扉を開け、前の車両から仲間達が集まっている車両へと戻ってきた新宿。
車掌に報告書を提出しに行っていたが為に彼は酷く疲れたような顔をして戻ってきたのだ。
とりあえず恋人である六本木に癒やしてもらおうとしたが、仲間達の中に彼の姿はなかった。
「オレの可愛い子猫ちゃんは?」
「外出中だ。」
そう言って都庁はコーヒーを啜りながら大江戸刑事を見ている。
「あ、新宿さぁん!これ、僕からみんなにっ!」
そう言って汐留が持ってきた小さな包み。
それは都庁達も貰ったようで。
「なんだぁ?このまりも。」
「新宿さん酷っ!!まりもじゃないよっ!!今日はバレンタインでしょ!!」
抹茶チョコだよっ!と怒られ、ああそう言えばと今日がバレンタインだったことに今更気づく。
「で?そこのもんじゃと力士は何やってんだ?」
月島は何やら怪しげな本を真剣に読んでいて、両国は相変わらず時代劇を見ている。
男ばかりのミラクルトレイン。
更には現在自分の恋人もいない。
新宿は大袈裟な溜め息を吐いて、がっくりと肩を落としながら月島の横に座る。
そして彼が読んでいる本をちらりと覗き見る。
「おい、月島。それ…」
「ああ、これですか?機会があれば…と思いまして。」
にっこりと怖いくらいの笑みで雑誌を渡される。
その雑誌のページに書かれていた内容。
正にバレンタインに相応しいチョコ関連の記事なのだが、その食べ方が問題だ。
月島に渡されたページには所謂チョコレートプレイのことが書かれていた。
彼もやはり男というか…、いや、そこが重要なのではなくて。
「月島。まさかお前、オレの史にしようってんじゃないだろうな?」
「当たり前じゃないですか。六本木さんのあんなところやこんなところをチョコレートまみれにして…」
「黙れもんじゃ!!この歩くR-18!!オレの史で変な妄想すんな!!その頭にもんじゃぶっかけるぞ!!」
暴言を並べたてて言えども黒い笑みが返ってくるだけ。
二人は座席上でばちばちと火花を散らし合う。
「みんな、ただいまぁ。」
そんな二人を差し置いて、ミラクルトレインは六本木駅に止まり、出て行っていた六本木を乗せて再び走り出した。
「六本木さん、お帰りなさーい!これ、僕が作ったんだよvV」
「わぁ!抹茶チョコ?ありがとう、汐留くん。」
満面の笑みの汐留とほんわかした笑みの六本木。
彼らを見ているこちら側まで和んでしまいそうな雰囲気だが、六本木がお返しにと紙袋から出してきた包みに空気が一変する。
「おら、汐留っ!なぁに史からチョコ貰ってんだ!?」
「汐留くん。抜け駆けはいけませんよねぇ?」
黒いオーラの新宿と月島に肩をがっしり掴まれ、微笑みかけられる。
ガクガクと怯える汐留だが、満面の笑みの六本木が二人の分もあるよと言った瞬間彼が天使に見えた気がした。
「月島さん、いつもありがとう。」
「いえいえ。六本木さんの為なら全裸逆立ちで大江戸線一周もしますよ。」
「つーか、そのままくたばれ!」
あまりの嬉しさに半壊状態の月島。
そんな彼の犯罪的発言さえも六本木は見事スルーしてしまう。
続いてにっこり笑う新宿を飛ばし、都庁・両国・あかり・車掌、さらにはとくがわにまでチョコレートを配る六本木。
犬にまで先を越された新宿の我慢はもう限界だった。
「おいっ!史っ!!オレのは!?」
「えっ…、そのっ…、ある…よ…?/////」
そこで何故頬を染める!?
いや、可愛いけどさ。
そんな危ない考えを抱く新宿を余所に、六本木は持っていた紙袋を座席に置き、いそいそと上着を脱ぎ、ワインレッドのタイをはずし出す。
ちょっと待て。
さっきどこかで見たぞ…?
「史…ちゃん?1つ質問なんだが、何故脱ぐ…?」
「だっ…だって凛がそれを望んだから…/////」
「はいぃぃぃ!!?」
いつそんなことを望んだ!?
新宿はパニックになり、仲間達に痛い目で見られる。
「新宿さんヤラシ〜っ!」
「新宿さんもマニアックだなぁ!」
「新宿っ!破廉恥だぞっ!!/////」
「ちょっとぉ!やめてくださいよ新宿さぁんっ/////」
「わんわんっ!!(お前も月島のこと言えねぇな!)」
「新宿くん。くれぐれも車内を汚さないよう。それと、六本木くんが立てなくなるまで…はやめて下さいね。」
「新宿さん、私にも味見を…」
「お前ら勘違いすんなっ!!」
若干1名、肯定する発言をしたもんじゃがいたがそれはさておき。
新宿は遠ざかった仲間達に叫び、否定する。
「史っ!!お前もなんとか言え!いつオレが脱げと頼んだ!?」
未だ服を脱ごうとする彼の肩をがしっと掴み、ゆさゆさと揺さぶれば六本木は不思議そうな表情で彼を見つめる。
「だって…、バレンタインはチョコと一緒に自分をプレゼント…って雑誌に書いてあったから…。」
彼の天然発言に新宿は黒い笑みを浮かべて浮かれている月島を見る。
「おい、もんじゃ。変な雑誌を史に見せるな。」
「だって新宿さんも嬉しいでしょう?六本木さんのチョコ…」
「月島、それ以上言うな。裏行きになってしまう。」
都庁が頬を染めながら手で月島の口を塞ぐ。
「史。脱がなくていい。」
「どーして?」
「はぁ……。」
きょとんとする彼にため息を吐く。
そりゃ史とやるのは嫌いじゃないし、むしろ好きな方だ。
だけど……
「オレは、史から普通にチョコ貰えるだけでも嬉しいんだぜ?」
「凛…。」
「史、オレにチョコ…、くれるか?」
そうやって聞けば、六本木はうんと頷いた後、紙袋の中からごそごそと買ってきたものを取り出す。
「これ、凛が好きって言ってるお饅頭。」
「史っ…!!」
わざわざ買いに行ってくれていたのか。
そう思うと嬉しくて新宿は泣きたくなった。
「ありがとな、史…。」
「ん……、凛っ…。」
ちゅ…、とお礼のキスをすれば六本木は照れくさそうに笑い、新宿に抱きつく。
「あーあ、完全に二人の世界だねぇ、ありゃ…。」
「月島さん、ドンマイ。」
「汐留。傷口に塩を塗り込んでやるな。」
「うぅっ…。」
新宿と六本木の二人だけの世界に4駅はそそくさと違う車両に退散して行く。
「車掌さん、女の子から…が普通ですよねぇ?あれはありなんですかぁ?」
「本人達がいいのならいいじゃありませんか。さ、私達も退散しますよ。あかりさん。」
車掌は如何にも楽しそうにあかりを連れて前の車両へと去って行く。
「史。口移しで食べさせて?」
「やだ…、恥ずかしい…/////」
「もう誰もいないだろ?」
「うぅ…、わかった。今日だけ…ね?」
誰もいなくなったとラブラブする二人を見つめるとくがわ。
(オレの存在忘れんなっつーの!)
とくがわの文句が聞こえる筈もなく、しばらくその時間が続いた…とか……vV
【END】
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やっと出来ましたっ…!!
バレンタイン企画でアンケート1位だった凛史小説ですvV
なんとなく今回もギャグ…で。
月島さんがまたもや崩壊していてすみません……!!
アンケートに答えて下さった方、そしてここまで読んで下さった方、ありがとうございました!
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