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何かが起こるような、そんな気がした。
根拠も何もない。ただ胸がざわつくのを感じた。嫌な予感ではない。もっと何か、新しいことが始まる時のような、そんな感覚。
「席つけー、今日は転校生を紹介すっぞー」
教室の戸が乱暴に開く音がして、同時に担任の上総が入ってきた。
その後ろから着いてきたのは、うさぎ‥?
「ウサギ国、第三王女、弥生姫だ、皆仲良くするように
じゃ、弥生姫はそこの空いてる席につけ」
‥は?
うさぎ、ウサギ国?
ちょっと待て。こんな所にうさぎなんて放り投げたら食われて終わりだろ。転校生って、何だよ。
「うさぎだ」「うさぎだ」「うまそう」「食っていいのか?」「食いたい」「食いたい」
ほら、言わんこっちゃない。
だが、当のうさぎは、周りの声が聞こえているのかいないのか、涼しい顔で席に着いた。俺の後ろの席に。
「言っとくが弥生姫食った奴はポイントマイナスになっから覚えとけよー、じゃ」
シンと静まり返った教室の中、最初に言葉を発したのは俺だった。
「‥アンタ、何しに来たの」