Jan08::日常
 月の満ち欠け(原作)

佐藤正午は初めて読んだけど、
田山花袋以降の口語体の良さを活かせている
数少ない作家さんなんじゃないかな。

話題:読書

田山花袋以前の文学は文語体といって、
書き言葉の文法が使われるような
形式ばって堅いイメージのものばかりなんだけど。
病床で口語筆記させて生まれたのが口語体。
つまり話し言葉で書く文法。
現代作家だとこの中間を書くのが京極夏彦。
くらいの認識でいいと思う。

良質な現代作家って
今は絶滅危惧種なんじゃないかと個人的に思うけど、
(東野圭吾あたりなんかは消費に振り切れてる
エンタメ作家ではあるけれども、
文学かと言われると私の中では微妙ではある)
佐藤正午は間違いなくレッドデータブックに載る
良質な文学作家だと思うよ。

文体に慣れるまで時間かかるけど、
慣れたらさらさら読めるしおもしろいんだよね。

映画版は上手いこと原作にない小道具を使って
脚本をまとめたなぁと思ったけど、
原作は原作で
初恋の面映ゆさや運命の劇的さをきちんと描いてて、
ラスト3行で泣けるから。
流れを知ってるから泣かないぞと思うけど、
3行で泣かされるから。

脚本の秀逸さはあれだね、
もはやあれは田中圭に当て書きしたかね、
と思うくらいのクソ野郎だね。
原作はそこまでクソ野郎ではなかったし
何ならあんなに嫌われ役にしなくても…と思うけど、
ジャニーズ宛ててるから仕方ないんだろね。
極端なんやで事務所の手法が。

私もこういう前世からの繋がり的な
劇的恋愛してみてーなー。
腐れ縁じゃなくて大事に思われる方な。


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