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時計の針を回して昨日に戻れるなら


私は戻れるならいっそ一昨日の昨日に戻りたいです
そしたら絶対絶対絶対『バイバイ●君』って可愛く言い直すのに……!
語尾につけて言ってやるのに……!



さあ今日も微妙なテンションで始まりました
鏡美ですどうも\(^O^)/
誰か私を攻めに変えてくれないかしら
すっかりヘタレな私に合掌



……はい、じゃ気持ち切り替えてっ
今日はAYAKA様へのお礼をかねて、ちょっとしたのをやらかします(←?)


◆ブツを読む前に◆

・薔薇アリイラスト置き場にあるAYAKA様の一番最近のイラスト2枚を目にじゅうじゅう焼き付けておいてください
・誰かしら壊れますがそっとしておいてください
・くそったれ鏡美ごときに素晴らしい文を期待してはいけません
・上記の条件をクリア済み方のみ下へどうぞ



はいOK?
覚悟は出来ましたか?(・ω・`)

では麗しく残酷な薔薇の国へ、行ってらっしゃいませ――(やっべこのフレーズ超久しぶりに使った)









「……うぐぐぉクラウスヘルプウゥゥッ……!」

「や、やだ! ありす様顔面蒼白ですよ、一体どうしましたの!?」

「ドドドドレスが絡まって息がっ……息があぁ」
「あぁもうどうして自分ひとりでやろうとしましたの、声をかけてくだされば私がお手伝いしましたのに。ほら、紐の端を渡してくださいな」
「ゲッホ面目ない……」
「キ、キャーもう時間ですわぁぁありす様急いで!」
「クラウス取り乱しすぎっしょ、まだあと5分もあるよ? あれ、ここに置いといたアクセ見つかんないや」
「だだだ駄目ですっ……開始時間に遅刻したらシェイド様を女の子に奪われてしまいますぅぅ」

「まさかシェイドに限ってそんなこ「ありえますわ!!!」

「……すいません」
「あ、いえ」
「まぁ仕方ないか――今日は十年に一度しかやらない、住人が勢揃いする薔薇の国の舞踏会の日だもんね」









「ごっめん、お待たせ――わあ皆ずいぶん洒落た格好しちゃって。一瞬誰かと思ったぁ」
「遅ぇぞありす! 待ちくたびれた」
「ごめんごめん、道に迷っちゃって。だってこの城広いんだもん。それにこのダンスホールもだだっ広いから皆を見つけるの苦労しちゃった」
「ありす大丈夫でしたか? ここに来るまで、他の住人に何かされたとか――」
「ううん平気。クラウスも一緒だし、今日だけは争奪戦も戦いもお休みなんでしょ? ちょっと周りの視線が気になったけど、何もされなかった」
「それはよかった」

「まぁシェイド様……白いタキシードが随分とお似合いで。み、見惚れてしまいますっ」
「ありがと。あ、クラウスは薔薇色なんだね。可愛いよ情熱的で」
「うあっ……はい……!」

「おいそこのスケコマシ猫」
「私らのクラウス汚さないでよ、貴方と違って百人斬りでもなきゃ尻も軽くないんだから」
「ありす嬢ひっどい」
「うっさい」

「君たちそうやって俺のことばっかりタラシタラシ言うけどさ、知ってる? リオだってあんな誠実そうな顔して実はもう十人くらい斬ってるん――」

「あーあーあー!! さぁありす、僕と踊りません!? ほらほらせっかくダンスホールに来たんですから踊らないと」
「んじゃ俺もクラウス連れてくかんな。ほら行くぞクラウス!!」
「やっ、やだあぁシェイド様助けてぇぇっ」
「……やれやれ、じゃあ俺は適当に美女引っ掛けてこよっかな」









「……怒ってんの?」
「怒ってますわ」
「俺、なんか怒らせるようなことしたか?」
「自分の胸に手をあててお聞きになって」
「?」
「ハルなんて嫌いっ。せっかく、せっかく一生懸命準備してきたのにっ。全部水の泡ですっ」
「……猫か……」
「……」
「わりぃ。じゃあ俺さ、今から猫呼んでくっから」
「待って!」
「なっ」
「こんな顔じゃシェイド様に会えません! もう、それもこれもハルのせいですわ!!」
「じゃあお前俺にどうしろと!?」
「……責任、取っていただけます?」
「何のだよ」

「ハルだって放っておけば誰か知らない女の子に声かけられるでしょう? 私、このままパートナーを失って独りぼっちになるのは嫌なんですっ。だから今日が終わるまでハルはずっと私と踊ってくださいな」

「……なんつー我が儘」
「ダメですの?」
「俺がどう答えるか、わかってて聞いてんだろお前」
「えぇ」
「あーもうわかったよ! 今夜は帰さねぇから覚悟しとけ!!」
「いや、帰さないも何も家一緒じゃないですか私たち」
「……じゃ今夜は寝かさねぇ」
「私より就寝時間の早い人が何寝ぼけたこと言ってますの。えいっ、このっ」
「ギャー足を踏むな足を!! いってヒール食い込んでる痛てててッ!! 痛いバカッ!」
「ふふっ」









「ねぇリオ」
「はい?」
「……ここまで来ておいて何って感じだけど、私全ッ然踊れないんだよね。林間学校のときフォークダンスとか、授業でワルツのステップやったくらいで。っていうかワルツのステップももう意味不明みたいな」

「そういうことならご心配なく。女性のエスコートなら僕の得意分野です」

「どういう意味よそれ」
「……ゲッフォゴホッ何でもありません。さ、曲もう始まってますから踊りましょうありす」
「足踏んだらごめんねリオ。というか踏むよ絶対」
「――ッ!」
「ごめん、言ってるそばから早速踏んじゃった……!」
「い、いえこれくらい何のその」
「……ありがと。リオのそういう優しいところ私すごく好き」
「ゥエッホゲホォォッ!!!」
「リ、リオ!?」
「あ、いや僕今日喉の調子悪いみたいなんですよね。コホン。ハハ、今の咳で聞こえなかったんでさっきのセリフもう一度言ってくれません?」
「えっ」

「はいやめやめやめ、そこの二人離れてねー」

「きゃ!」
「シェイド……一体何しにきたんですか」
「何ってわかるでしょ、ありす嬢にダンスのお誘い」
「君たしか美女引っ掛けるとか言ってませんでしたか」
「言ったよ。だから探しに行ってきた。そしたらほら、俺ってこんなに恵まれた容姿してるからさ周りが放っておかなくて。でもありす嬢より魅力的な子がいなかったから結局戻って来ちゃった」
「セリフクサッ……!」
「わぁひっどい」
「ありすはまだ譲れませんよ。しっし、シェイドしっし」
「もうこんな時まで喧嘩しないでよ!! リオもシェイドも空気読め!」
「あ、あり――」


ぶちっ


「おっと!」
「どうしたんですかありす」
「……い、いや別にたいしたことはないけど。今どっかの婦人の装飾品が身体に引っ掛かってさ。うぅ、肌ちょっと切れたかも」
「でもその割にはぶちって音のほうが大きかったような」
「そう変なの」

「どれ、どこ怪我したんですか見せてくださ「……あ、ありす嬢タイム!」

「へ、何?」
「大好きだよありす嬢!! もう君しか見えない愛せない!! 俺のこの抑え切れない想いを受け止めて!!」
「うぎっここここんな公衆の面前で抱かないでよちょっとぉッ! 恥ずかしいわ!」
「今から俺の部屋おいで」
「はあぁ!?」
「いいから、ね……(ありす嬢よく聞いて。真面目な話ね、俺気付た。幸いリオはまだ気付いてないみたいだけどさっきの接触でドレスの肩紐切れちゃったみたい。つまり、その)」
「え?」

「(片胸見えてる)」

「いっ……!」
「(俺エースの部屋の場所知ってるし鍵持ってるからさ、今から速攻代わりの服探しにいこ。あそこならエースが趣味で作ったドレスが揃ってるはず)」
「わわわわかった――私モシェイド大好キヨウフフ。部屋ヘ行キマショ」

「え、え!? ありす!?」
「そういうことだから。じゃあねリオ、ありす嬢はもらってくよ」
「モーシェイドッタラ私タチガソウイウ仲ダッテバラシスギヨー」
「ごめんごめん、じゃ行こうかありす嬢!(ふ、震えてるけど大丈夫?)」
「ウンソウネー(大丈夫なわけないでしょ今にも気を失いそうよ……!)」
「ありすっ……」
「(ごめんねごめんねリオ本当にごめんなさい。私は心の中で泣いて詫びます)」

「まぁあのロザヴォーグ様がお一人だわ!」
「今夜は無礼講よ!! 皆の者であえであえぇぇぇ!」
「ロザヴォーグ様私と踊っていただけませんかっ」
「いやアタシと」
「いえいえこんなアバズレ娘よりわたくしと」

「……もう、皆かかってきなさい。今夜の僕は逃げも隠れもしませんから……」

「きゃあああロザヴォーグ様が相手してくださりますってよぉぉ!」
「ウォオオオ舞踏会バンザイ!!!」



「……ハル、白兎様の貞操が危ないですよ。いいんですのお助けしなくて」
「いーんだよ見てて面白いから。いい気味だぜ」
「そう」
「でさ、あのさ、そろそろ足踏むのやめねーかクラウス」
「やめません♪」
「もう俺帰りてぇぇぇ」



 終





以上、AYAKA様へのお礼をこめたプチストーリーでした(*´ω`)
リクエストが《キャラ勢揃いの豪華な舞踏会》だったんで頑張ってみたんですが……あれおかしいな人が足りない

入れる隙が無かったのでおまけ*


「おいエース」
「はい陛下。どうかなさいましたか?」
「あれを見ていたらな、私も久々に踊りたくなってきた。お前、私のパートナーをやれ」
「……わたしごときが相手で構わないのですか」
「これは命令だ。早く私をエスコートしろ」
「はっ、仰せのままに……!」


何これエース→陛下?笑
AYAKA様、例のポロリ事件もぶっこんでみましたよ\(^O^)/
ぬおぉどうでしたk(殴
なんだか結構メジャーな理由しちゃいましたけど;;

イラストありがとうございましたvV
これからもどうぞごひいきn('д(〇=(・∀・)
というわけで今日はこれにて*




★拍手れす★


◆藤咲魅蘭様
→いえいえ、ってか実際私も英語教師に聞くまで何が何やらさっぱりでしたもん(*´ω`)
どうかお気になさらずに*
ふ、ふたつぅぅぅ!?
しかもその間に861回のアクセスが……(笑)
ほんとだ私達繋がってますわvV←
あいむらびんぐ藤咲様!

◆りんご様
→あらま、拍手のモロモロご覧になったんですね(pд・。)
さすがなんてそんなっ、すいませんこんな変態で´∀`
応援ありがとうございますー♪
ひゃあああまたイラスト描いていただけるんですか!? めっちゃ楽しみにしてますね★
りんご様のイラスト可愛くてらぶいですvV
どうぞいつでもコメントしにいらしてください(/▽\*)

◆知秋様
→いいえこちらこそステキな創作サイト様にリンクしていただけて猛烈に感謝してます(*´3)д`*)
しかもあんな豪華な紹介文……私のブログなんかにいいんですか!?(ぇ
大丈夫です来る者拒まず去る者全力で追う鏡美ですからいつでも訪問大歓迎ですよ♪
お時間あるときはぜひいらしてくださいっ、といっても対した内容載せてませんが(自滅)

◆ゆら様
→まさかこのブログで諏訪部という名前を聞く日が来るとはwww
跡部様――!!!笑
友達スネイクやってましたよ、さすがにブーメランのほうは無理でしたが(当たり前だ)
なんでしたっけ正式名称……私も聞いたことあるような気がするんですが、ライジングだかバギーホイップだかそれとも別の何かだったか(・ω・`)
っていうかテニプリトーク出来てめちゃめちゃ嬉しいんですけど!←
えーじゃあ遠慮なく所々にそういうネタちりばめますね★(ぇ

番外*ハル×クラウス*

どうもこんばんは!
鏡美です、どうも(´∀`)

たいへん遅くなりましたが、キリ番7777リク【ハルとクラウスの子供時代】前編アップします♪

推奨BGMはHYの【AM11:00】。
やつらの子供時代といえば――あれやるしかないな!という感じで、すぐ内容決まりました(笑)

ちなみにこの番外の時代設定は、ありすが薔薇の国に来る少し前ですw
期待に応えられるような話になってるかちょいと不安ですが、どうぞお楽しみください(^ω^)






*.+。*.+。*



柔らかな陽射しが降り注ぐお茶会場。
傍らに置かれた銀の腕時計の短針は3を、長針は12を。

つまり現在午後3時。日当たり良好な椅子に座って焼きたてのタルトを頬張りながら紅茶をすするにはとてもいい時間だ。

俺の名前はハル。
薔薇の国の帽子屋ハルヴェルゼ。
特に何事もない平和な毎日を過ごし、今年で無事17歳を迎えた。

「……ふう」

真っ白なテーブルクロスの敷かれたテーブルに肘を置き、頬杖をついてぼーっと考える。

むっかつく。
ああむっかつく。
……畜生。

俺が今いらついてるのには理由がある。
まあ、周りからしてみりゃそんなたいした事じゃねえんだけど――

「ハル」
「……あー」
「ハル、聞いてますの?」

俺の名を呼ぶ声が耳に留まり、ようやく我に返る。
声の主は考えなくてもすぐわかる。甘ったるい声でお嬢言葉を使いこなすのはアイツだけ。
……っていうかここ、俺含めても二人しかいねえしな。
はあ、だるい。俺は声がした方へ頬杖をついたままゆっくりと顔を向けた。

「呼んだか、クラウス」
「――ええ呼びましたわ。ハルったら、さっきから私にばっかりお茶注がせて自分は食べてばっかりじゃないですか!」
「別にいいだろーが、お菓子は俺が作ったんだからっ」

我ながら返答が素っ気ない。
でも仕方ない、今日の俺はなぜか非常に憂鬱なんだ。センチメンタリストなんだ。
あれ、意味違うか?
まあとにかくわかってくれ。

花柄のティーポット片手にむいっと頬を膨らましているのは、俺の幼なじみことクラウス・ローズマーチ。
薔薇の国の三月兎。帽子さえ取れば見た目が普通の人間とたいして変わらない俺と違って、コイツには兎の耳が生えている。
もしこれがなかったらクラウスはただのゴスロリちゃんだ。
いや、でも耳があろうがなかろうがコイツはこの国の誰よりも可愛いんだろうけど。

「……ハルって本当、私をキッチンに入れてくれませんわね。もぉ、どうしてですの!?」
「ったりめーだろ! また指切り落とされちゃ、こっちがたまんねーよ」
「ま、まあ! あれは不可抗力ですわ、私には指を切り落とすつもりなんてなかったのに勝手に包丁が」

……最初っから指切り落とすつもりで包丁握ってたら怖いわ。
こいつ本気で言ってんのかな。だとしたらすげぇ心配っつーか恐ろしくてどこにも嫁にやれねぇ。

「ふん、ばかクラウス」

――ああもうむしゃくしゃすんな。
《あの日》の事を思い出したら余計腹立ってきた。

片手で頬杖をつき、もう片方の手にはしっかりとフォークを握り、皿に取り分けられた一切れのタルトに思いっきりぶっ刺した。
タルト生地がはじけとび、ちょこんと乗せられてた赤い苺が空を踊る。

――ちっくしょ。


 ◆


「ハル、今日は何の日か知ってます?」

――読みかけの分厚い本を顔に乗せてソファーの上に寝転がる俺にクラウスが囁いたのは、12歳の冬のある日のこと。

「ほら起きて、自分で確認してくださいなっ」
「……なんだよ」

寝起きでクソだりぃ。普通、人が安眠貪ってるときに揺すって起こすか。
渋々本を退け、眠たい目をこすりながら壁にかかったカレンダーに目をやると、今日の日付のところに赤丸と小さな文字が書きこんであるのに気付いた。
12歳らしい丸めで少し崩れた字を、俺は眉をひそめ読み上げる。

「……バレン、タイン?」

2月14日。バレンタインデー。
カレンダーには確かにそう書きこんであった。
すると俺の横に立っていたクラウスは整った顔に花のような笑顔を浮かべ、言う。

「パパもママも、ハルのお父様もお母様も残念なことに今は仕事で不在です。だから、今年は頑張って私ひとりでチョコレートを作ろうと思ってますの」
「……あ?」
「というわけで、ハル何か希望あります? ケーキとか、それともマフィン? あ、クッキーもいいかもしれませんわね」
「あ、いやちょ、ちょっと待てお前ッ!!!」

――まずい。かなりまずいぞこのパターン。
うっとりした目で語るクラウスを制止すべく俺はさっきのけだるさをどこかに吹き飛ばしてソファーから弾むようにとび起きた。

「や、やめとけっ。俺ら親がいないときに包丁使うなって普段から言われてんだろ!?」
「ええっとまず板チョコを細かく刻んで、それから湯煎にかけてと――」

……やっべぇ、コイツの脳内じゃもうクッキング開始してるわ。俺の叫びなんか微塵も耳に届いちゃいない。

俺は昔、母さんに聞いたことがある。
といっても母さんもクラウスの親から聞いた話で、実際見たわけじゃないんだが――クラウスは料理、というか包丁さばきが壊滅的だと。

しかも手を怪我するとかそういうのだけじゃ済まないらしく、油断して一瞬でも目を離すと包丁が自分に向かって飛んでくることだってあるんだと。
……だからクラウスには死んでも包丁を持たせない。これが三月兎ローズマーチ家の暗黙の了解らしい。

俺は焦った。いやもう自分でもびっくりするほど焦った。つーか凍った。
たかが一回のバレンタインごときで人生に終止符を打つのなんて勘弁! いや、勘弁なんてもんじゃねえ!

「――うん、だんだん頭の中でイメージ固まってきましたわ♪ そろそろ作り始めようかしら」

やめろクラウス、行くなああああ!!!

……だが俺の声にならない叫びはクラウスの胸に届かず真っ白な壁にぶちあたり虚しく散って。
キッチンに向かって軽やかに鳴る足音と、ふわりと揺れる黒い巻き髪を呆然としながら見送るしか出来なかった。

――いやいやまずいだろまずいだろこれ確実にまずいだろ。つーかこれでもしクラウスの身に何か起こったら俺が父さんと母さんからフルボッコの刑だ。死ぬわ!
焦った俺は慌ててソファーから飛び下りてクラウスのあとを追い、水色のタイルで彩られたキッチンにダイブするように飛びこむ。

「とまれクラウスッ、頼むから空気読んで――」
「きゃああああああッ!!!!」

……俺が涙目でクラウスを説得しにかかるのと、クラウスが家中に響き渡るほど大きな声で泣き叫んだのはほぼ同時だった。

――え、今なにが?

クラウスは泣きながらその場に崩れ落ち、うずくまる。
たった今この場に着いた俺には何が起きたのかわからない。
っていうかシンクにゴキブリでも出たのかと思って、びくびくしながらクラウスに近寄る。

「どうしたっ、もしやお前今ミスターGと運命的な出会いを果たしてしまったのか!?」
「指が……私の指がっ……!」
「え」

ゆ、び?
なぜ指、と首を傾げながらキッチンに目をやる。
コンロ。異常なし。
引き出し。ここも異常なし。
シンク。異常なし――いや待て、なんかある?

シンクの横の台に置かれたまな板の上に、日頃見ているようで見ていない何かが転がってる。
なんだこれ。目を凝らして、もっとよくそれを眺めてみる。

俺は叫んだ。
断末魔のような、それはもう鼓膜を突き破りそうなほどの声で叫んだ。
恐怖。なぜならそこにあったのは――赤く染まった、三つの指だったから。



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