話題:篤姫


始めにお断わりしておきます。
大河で堺雅人さんが演じた家定様に思い入れのある人は
この記事を読まないほうが幸せかも知れません。

庭先で戯れが過ぎ、池に落ちそうになった篤姫を家定が抱きしめ見つめ合った、あの印象深いシーン。
以来、両目をハートマークにして家定様にハマった人もいるのではと思うのですが、
うちもその一人です(笑)

ところが残念なことに、小説『天璋院篤姫』(原作だったんですね!知らなかった;;)を読み進めるうち、
ハートマークは無残なまでにパッカリと、二つに割れてしまいました。

それくらい、家定という人物は女性視聴者を獲得するために美化されていたようです。

ドラマ中の家定は暗愚やうつけと見られ、人々から影でささやかれたりします。
庭でアヒルを追い掛けたり、志賀とかくれんぼをしてみたり。

でも実は賢明で思慮もあり、世情を見通す力も見識もある立派な人物だった。

暗愚のフリをするのは兄弟たちに次々と先立たれ、唯一生き残った運命を嘆き、
もはや衰退しゆく幕府の運命をも儚んでいたからだったのだ。
「わし一人を生かして何の意味があるのか、天に問うてやりたいのじゃ!」

篤姫と心を通わせてのち、人が変わったように将軍らしい顔を見せるようになり、そのギャップもあって
視聴者はかなり家定に好感を抱いたのではないでしょうか。

大河ドラマ篤姫、原作は宮尾登美子の小説ですが、脚本は田淵久美子さん。

主に女性が主人公の数々のドラマを手掛け、賞も取ってます。

その田淵さんが家定を演じる堺雅人さんに
「本音をちらりと見せつつ暗愚な将軍を装い、しかも女性がかわいいと思えるように」
と注文して、堺さんは
「そんなのできないよ(笑)」と戸惑ったそうです。

うちはうまく演じてたと思うんですが、やはり田淵さんのコンセプトに女性視聴者への受け狙いがあり、
その意味で今回の家定を演じられるのは「堺雅人しかいない!」とまで言っていたとか。

では、実際の家定はどんな人物だったのか。
小説からいくつか引用してみたいと思います。


まずは一般的評価みたいな部分。
「骨細で見るからに弱々しく、こめかみにはみみずのような癇筋があって感情の起伏がはげしい」のを
不憫に思い、まわりの人々はとくに大事に育てすぎたらしい。
「そのために家定はずっと女ばかりの大奥で育ち、いま以て男ばかりの表へ出ることを嫌い、しぜん政治から遠ざかっているのは誰でも知っている事実であった」

家来の前で長時間の正座もできず、難しい話になるとすぐ怒ったり悲しむため、
「将来がこころもとないという印象を与えるのは当然のことで、小さい頃からつねに暗殺の危険にさらされてきたひとである」

ここで重要なのは「小さい頃から」というくだりで、
ある程度成長しての奇行ぶりではなく、生まれながらの癖だったのでは?ということ。

幼少からわざと暗愚に振る舞ったとしたら、それはそれですごい事ですが、
恐らくその後の印象からそこまでの人物ではなかった様に思えます。

「障害が脳にまで及んで、暗愚であるか、はたまた、体は弱くても内心は深い洞察力を持つ賢君であるかは議論の分かれるところだが、」
言語不明瞭なほど病に冒されていたわけではない。

ただ、成長するに従って人嫌いが加速していき、政務にほとんど関心を示さなくなったとの話で、
それが延いては早期の後継ぎ問題を引き起こし、家をふたつに分けて混乱していったことを思えば、
その器量について多少の議論があったとはいえ、とても賢君とは言えないのではないでしょうか。


現在残っている肖像画から想像できる家定の見た目は、なかなかの美男子だそうで、
この点についてはドラマのイメージを支持してもいいかも知れません。
しかし亡くなる直前は持病の悪化がひどく、ほとんど廃人のようだったとか。

いくら美男子でもそこまで身体が弱ければ、魅力もなにも発揮出来なかったと思うと家定への同情も感じますが
何よりも篤姫が可哀想でならないです。

ε=┏(; ̄▽ ̄)┛
長くなりそうなので次回に続きます。