どうにかこうにか京に着いた。
私はどっと疲れた体を橋の欄干に預け、はぁ……と深々とため息を漏らす。
【千鶴】になったときは大分パニック状態になったが、女から男に変わったわけでも、別の世界に来たわけでもないと開き直ることにした。
……したが、これからどうするべきか…という問題に直面してしまった。
千鶴の身なりから【幕末】しかも新選組に会う前らしいと検討をつけた。
『私』と出会わなかったし、もしかしたらこれが彼女が本来行くべき道なのかもしれない。
仕方ないと重い腰を上げ京に来たわけだが、どこに行くべきか…。
体を動かしているのは『私』だが、体は千鶴のものだ。
出来るだけ危険なことに首を突っ込みたくない。
綱道さんを探しに京都に来た―――それが千鶴の目的。
彼の所在は風間たちの所に行けば簡単に知ることができる。
でも【女鬼】の千鶴が乗り込んだら風間に手込めにされてしまうし、そもそも薩摩藩邸に行っても門前払いだ。
かと言って新選組に会ってしまたら嫌がおうにも戦いに巻き込まれてしまう。
一番いいのは松本先生のところ…。
新選組と関わり合いにはなるが、比較的に第三者の立場だ。
【千鶴】が巻き込まれても、『前』のようにはならないかもしれない。
松本先生…の所に行くべきか?
しかし『あの時』松本先生は江戸に行っていて居なかった。
ふむむ…と考え込んでいた私の体を冷たい水が濡らし始めたことに気がつき空を見上げる。
考えすぎてしまったようで、日は暮れてしまい雨の中佇んでいたのは私一人だった。
イヤな予感がする。
『前』は日暮れに浪人達に絡まれ、新選組に出会ってしまった。
今回もそうなのか?
いやいや、それだけは避けたい!
ここは穏便に穏便に。綱道さんの行方が判ればいいんだし。
私はイヤな考えを否定するように頭を降り、雨の道を走り宿を目指した。
……っていうのに、なんで『今回も』巻き込まれてもるんだぁ!?
羅刹の攻撃を何とか避けながらどうやって切り抜けようか考える。
しかし千鶴の体は私の体より動きが鈍く、避けるとき纏めていた髪を切られてしまった。
この野郎!!
千鶴の髪は私のお気に入りだったんだぞ!!
纏まっていた髪が無惨に散り、バサバサになった髪が雨で顔に引っ付く。
頭にきた私は羅刹に足払いをかけてやった。
無様にも転ぶ羅刹に鼻で笑い、その隙に身を翻し路地裏を走った。
追いかけてくる羅刹に追いつかれるわけにはいなかい。
どこをどう走ったのか知らないが、いつの間にか見慣れた場所に出ていた。
まてまて!!新選組はダメだ!!
また色々厄介なことに巻き込まれるぞ!?
新選組の看板に手を置き、どうするか考えながら後ろを振り返る。
そこで奴らが追いかけて来ないことに気がついた。
撒けた……か?
もしかしたら土方さんたちが粛清したのかもしれないが…あ、ヤバい……。
きゅるる〜
安心したら急にお腹が鳴った。
しかもお腹が空きすぎて目眩が…。
朝しか飯を食べていなかったしなぁ…。
そんなことをぼんやり思い、私は意識を手放した。
結局は定められた運命
(あ、土方さん行き倒れがいますよ)
(あぁ!?物好きにもほどがあんだろ…こんな所で倒れるか!?)
(……副長)
(ちっ……斉藤頓所に運んどけ)
(御意)