紅茶一杯。



プロポーズとモブ
2016年11月21日 11:25

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※モブ霊
※未来話


「師匠、誕生日おめでとうございます。」
「おう。ありがとう。」
プレゼントらしき小包を受け取る師匠。随分小さいが、時計かアクセサリーか。綺麗で丁寧な包装を見て、奮発しちゃってまぁ、と苦笑する。
どちらにしろ、あまり高級品は出て来ませんようにと内心祈る。
弟子から高価な物を貰うわけにはいかないのだ。包装が綺麗なだけのカジュアルな品物でありますように。と念を押して祈った。
「師匠。約束は覚えてますか。」
自分のデスクでプレゼントの包装をなるべく丁寧に外していた師匠の手が止まる。

『約束』

はて。
「忘れてますね、その顔は。」
はぁ…と溜め息をつかれる。いやいや違うんだよモブ、長い付き合いだったから約束ってどれの事だか解らないだけだ。と内心言い訳しながら師匠はモブを見た。
モブは師匠と数秒見つめ合うと「なるほど。」と呟いた。視線で会話が出来るくらいには、師弟の絆は更に強まっていた。
「じゃあさっさと言います。『師匠が行き遅れたら僕が貰ってあげます』ってやつです。」
淡々と告げるモブに、初耳ですけど。みたいな顔を向ける師匠。
「……嘘でしょ?」
あまりに素のリアクションで茫然としているので、モブも冷や汗が滲み出す。
「え、師匠。忘れちゃったんですか?」
デスクに近付き、師匠の向かいでデスクに手を着く。真正面から師匠を見据えるモブ。
「本当に忘れちゃったんですか?」
なんてことだ、覚えてない知らないと言われたらどうしたら。計画が全て水の泡だ。モブはあまりの恐怖に震えた。
師匠はまだポカンとしていたが、じわじわ顔を赤くしていき
「あー……ああ、ハイハイ。思い出した。あったなそんなの。」
と苦笑いする。さっきまで丁寧に開けていた包装を動揺からか雑に扱いだす。
出てきた小箱はすんなり開いた。果たして、プレゼントは。
「師匠。約束通り貰いに来ました。これ受け取ってくれますよね。」
シンプルなデザインなのに上品さを感じるリング。そこで漸く気付く。モブも付けていると。ペアリングだ。
「了承ならサインをください。」
ここに。と自分の唇を指すモブ。キザな行動に出た割に内心では心臓が爆発しそうに、緊張していた。
師匠はしばしモブとリングを眺めていた。沈黙が怖かったが、言いたいことはもう言ってしまった。返事待ちするしかない。
「モブ。お前本当にそれでいいのか?」
「何年越しの恋だと思ってるんだ。僕は本気だ、ずっとずっと本気だった。」
師匠を真っ直ぐ見る。と、観念したように師匠は破顔一笑した。
「めっちゃ待たせたな。悪かった。」
と椅子から立ち上がり、約束を果たした。


「本当に、長かったです…」
デスクを挟んで抱き合う。モブは泣き出し、師匠はその背中を撫でて慰めた。

そりゃ約束内容が悪いよ、の言葉は飲み込むことにした。






・師匠が貰われるとしたらどんなだろなと思ったらこんな感じに。
何歳から手遅れになるか解らなかったので明記できませんでした。とりあえず二人共ええ歳になってます。
てか行き遅れって。女子かよって師匠に突っ込み入れさせれば良かった。


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