紅茶一杯。



カプセルトイとモブ
2016年12月11日 17:16

話題:二次創作文

※モブサイコ100


カプセルトイの機械の前で、モブは随分と立ち止まっていた。
手に握りしめているのは、今日貰ったばかりのバイト代だ。
目の前の機械には1回300円と書かれている。

モブはこのカプセルトイに遭遇してから今まで悩んでいた。普段ならば、あまり興味は湧かない。なぜかこれは、このカプセルトイには、惹かれる物があった。
(これ、やっぱり似てるなぁ…)
カプセルが入った部分、商品表のラインナップに並ぶうちのひとつ。
それがどうにも、知り合いに似ているのだ。この、ずる賢い目つきと、立ち姿と、ネクタイが。

モブが立ち止まっているカプセルトイは、動物を人間視したようなフィギュアだった。
飲んだくれる狸や、膝を抱え落ち込む兎や、美意識の高いキリン、腰に手をあて牛乳を飲む牛、腕を組み偉そうに立つ鼠。
その中でモブの興味をひときわ引く存在が、悪巧みをしている目つきの、ネクタイを絞めた二足歩行の狐だった。毛並みはミルクティー色でネクタイは地味な黒。不敵な笑みを浮かべている。

その狐を眺めていたモブは決心したのか、動いた。300円を入れ、ハンドルを掴む。ドキドキと緊張状態に力みながら、慎重に回した。ガタンとカプセルが落ちてきた音に息をのむ。そろそろと取り出し口に手を入れ、カプセルを引っ張り出すと、そこには。


「……………牛か。」
溜め息と共に肩が下がった。諦めの息をつき、カバンにカプセルを突っ込み歩き出す。今日のバイト代が一瞬でなくなった。
漫画買えばよかったな、としょんぼり考えながら家へ向かう。辺りはすっかり暗くなっていて、帰宅早々親に叱られた。


「って事がありまして。」
落ち込んでるモブに、どうしたと声をかけた師匠はその内容に呆れつつ、顔に出せばモブを余計ヘコませるので平静を装った。
「そんなにヘコむほど欲しかったのか。」
ソファーで向かい合わせに座る。モブは
「別に…そんなには。」
と返すが、無意識に溜め息をついている。自覚なしか、と師匠は重症さを確認する。
「それって、駅前の本屋のガチャガチャか。」
「えっ はい。」
頷くと、師匠は立ち上がりデスクに向かった。
「確かこの前ここに…」
と書類棚の引き出しをゴソゴソしている。それを眺めるモブ。
「あ、あった。モブ、お前が欲しかったのって、」
これか?とカプセルを投げ渡された。急なことに反応が遅れて、キャッチ出来ず指先で弾いてしまったが、とっさに超能力で止めた。
「いきなり投げないでくださいよ。」
悪い悪いと悪びれず謝る師匠に呆れながら、手のひらにカプセルを収める。
中には狙っていた狐が居た。カプセルの内側からモブをからかうようにニヤニヤ見ているようだった。
顔を上げれば、同じような顔をしている師匠。
(やっぱり。)
そっくりだ、とモブは小さく笑みを浮かべた。





・このあと多分モブが代わりにって牛あげる交換会があったり。いいよね交換(´▽`*)
今日は百円玉記念日なので、それでスタートしたのに百円玉関係無い内容に。やっぱり見切り発車はダメね、着地がね。
個人的な問題が1個解決してちょっと気分が楽になったので妄想してみました。リハビリリハビリ。

(追記)
あ、補足です。師匠がなぜ狐フィギュアを持っていたのか。牛が欲しかったから。(サイキックパズルのネタ…だったり…やったことないのにすみません…(/ω\*))

やったことないのでフィギュアの内容(ポーズ)も適当です。すみません。


コメント:0
モブサイコ100




前n 次n 戻る 上へ


-エムブロ-