紅茶一杯。



アレルギーとモブ
2017年2月20日 18:40

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※本日の記念日ネタ


「モブ。お前に言わなきゃならない事がある。」
マスクをしている師匠が真顔で話してきた。
『モブアレルギー』になったと。
「えっ。」
フリーズするモブに、師匠はいつもより潤いのある目で、真面目な声で、続ける。
「俺なりに原因を探った結果だ。ここ最近出てた目の痒みと鼻水は、お前に反応してたんだ。」
「花粉症じゃなかったんですか……」
「花粉症よりタチが悪いぞ。なんせお前にシーズンは無いからな。」
ハッとするモブ。
「それってつまり、僕はもうここに来れないって事ですか!?」
思わずテーブルに手をついて身を乗り出した。
「いや早まるな。俺としてもお前を今失うのは困る。芹沢は居るが、接客はまだまだモブより下手だからな。」
直後にくしゃみをする師匠。微熱でもありそうな、ぼんやりとした様子の師匠を不安そうに見るモブ。ちょっと待ってろ、と一時中断しマスクを外し鼻をかむ師匠。
「…とりあえず漢方から始める。」
「えっ。」
「甜茶って知ってるか。アレルギーに良く効くそうだ。花粉とお前じゃ全然違うから効くか分からんが、何事も試さなきゃ先に進まないからな。」
とテーブルに水筒を出した。
「こちらが件の甜茶です。」
と通販番組みたいな紹介をする師匠。
自分の湯呑みにそそぐと、お前も飲んでみる?と水筒を向けられたので、ちょうど空いてた自分の湯呑みに入れてもらったモブ。
「なんだか甘いですね。」
「でも糖分ゼロだぞ。ダイエットにも推奨されてたな。甘みがあるから甘味代わりにって。」
「箱に書いてあったんですか?」
「いやネット。でも効能に食欲増進て書いてあったから意味ないだろうな。」
ダイエットでの甘味の置き換えに飲んだら食欲が増進するとか、酷い罠だとモブは甜茶を飲みながら思った。

「どうですか師匠。」
甜茶を飲み終わり、5分経過した。
「ほぼ変わらん。気持ち的に楽になった気がするが、そう思いたいだけかもな。」
ティッシュで鼻を押さえながら言う師匠に、落胆するモブ。
「……僕はどうすれば……師匠、そんなアレルギー本当にあるんですか?」
もしかして、からかわれているのかもと期待する。
「だんね゛んだがら…」
「え? なんですか?」
ちょっとストップ、と師匠がモブに手のひらを向ける。横を向いて鼻をかんだ。
「あ゛ー… すまんモブ。残念だが、お前が原因としか思えない。」
「そんな……」
絶望するモブ。ショックに青ざめているモブを眺めながら
(本当にすまんモブ…………実は嘘なんだ。)
と神妙な顔で師匠は心の中で謝罪する。
正直今ウソでしたって白状するチャンスだったと真顔で反省する師匠。
師匠の痒み&鼻水はダストアレルギーだった。ここしばらく忙しくて掃除の手抜きが原因のアレルギー鼻炎だった。

モブにこんな酷い冗談をしかけたのも、最近成長の著しい弟子が巣立つ気配に、妙に寂しくなってしまったからだった。
思ってたよりも事務所から離れる事にショックを受けたのが嬉しくて、つい調子に乗ってしまった。
(どうしよう……)
ソファーにこじんまりと座りショックに硬直しているモブが可哀想で愛おしい。
重苦しい空気の中、渋い顔をしながら師匠は半分罪悪感に悩み、半分モブへの愛おしさに苦しんでいた。

そんなどんよりとした空気を少し離れた場所から眺めているエクボは呆れながら、あと3分待って師匠が自分からバラさないならチクってやろうと決めた。





※モブアレルギーなんてなっちゃったらどうなっちゃうんだろ、って思った結果バッドエンドしか思い付かなかったので師匠に嘘つかせる事にしました。


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モブサイコ100




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