紅茶一杯。



閉じ込められた師弟
2017年2月26日 15:00

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※全裸注意




除霊帰りに銭湯に寄ったモブと師匠は、お互いタオル一枚の姿で浴場の扉の前で困惑して立ち尽くしていた。
「開けられるか?」
「結構強い結界が張られてて…もしかしたら扉ごと吹っ飛ぶかもしれないですけど…」
手をかざすモブ。
「モブ待て。ほかの方法も考えよう。」
弁償が頭をよぎった師匠に超能力の使用を止められるモブ。
とりあえず湯冷めするからと再び湯船に浸かりに行く二人。
他に客が居なかったのは幸いなのか不幸なのか。
「どうしますか。」
「うーん…そもそもなんで閉じこめられたのかがまず分からん。さっきの除霊でなんか拾ったか?」
「特になにも拾ってないですね。」
「じゃあこの銭湯に何か居るってことか。」
そいつが妙な結界を張ったのだろう。面倒なことになった。
「さっきまで気配はしてなかったんですけど……今は微妙に何か居ますね。」
「そんな微弱な霊に結界なんてものが張れるとは思えんが…」
実際閉じこめられているので、無関係ではないんだろう。
「まさか全裸で閉じこめられるとはなぁ……」
「丸腰ですね。わざとだとしたら…」
結構、狡猾な悪霊かもしれない。二人に緊張が走る。
散々助けを呼んでも番頭は来なかった。多分音は遮断されているのだろう。扉を破壊すれば出られるかもしれないが普通に犯罪だ。
「うーむ…」
どうしたものか、と赤い顔でユラユラ考える。
「師匠、大丈夫ですか。顔が……」
「ちょっとのぼせたかもな…」
とよろけながら湯船から上がる。腰にタオルを巻き壁にもたれていると、モブがやって来る。
「大丈夫ですか、師匠。」
側にしゃがみ込み、ぺたりと額に触れた手はひんやりと気持ちがよかった。
「なんだお前、手が冷てぇじゃねーか。湯船浸かって温まれよ……」
ぼんやりする頭でモブの心配をする師匠。
「手だけ冷やしたんですよ。」
だから大丈夫です、と聞いて安心する師匠。
「なんだそうか…ならいい。モブの手気持ちいいな…」
思ったよりのぼせてたようで頭がぼやけて、なんだか夢心地になりつつある師匠。
額の他に、もう片方の手も師匠の頬に寄せるモブ。
「気持ちいい……」
目を閉じたまま言う声が思いのほかうっとりしていたので、ちょっと驚きつつ
「そうですか。」
とペタペタ師匠の顔を触ってあげるモブ。
数分後、意識がはっきりしてきた師匠が目を覚ますとモブが震えながら師匠にくっついていた。
「なにしてんだお前。」
状況が把握できずキョトンとする師匠に
「さ、寒くて…」
と更に師匠に身を寄せる。
「体めちゃくちゃ冷えてるじゃねーか、なにやってんだよ。」
と慌ててモブを抱えて湯船に入る師匠。入るなりモブを離し、ああそうかと思い出す。
「お前ずっと俺を冷やしてたのか。悪かったな。」
と謝罪し、ありがとうなと礼を言った。モブは首まで浸かりながら「はい。」と震えた声で小さく返した。
モブの不器用すぎる優しさに、無事出れたら牛乳を奢ってやろうと思いながら腰に巻いていたタオルを縁で絞る師匠。
慌てていたのでそのまま入ってしまっていた。


「さて。どうやって出るか…」
結界はいまだに張られている。扉をどうやって開けようかと再び扉の前で考える師匠。
「………」
「モブ?」
モブが湯船をジッと見ていた。
「なんだ寒いのか?」
浸かってきていいぞと言う師匠に
「あそこに何か居ますね。」
と指差す。その先は湯船の奥のほうだった。
「なんだ、漸く本体が出て来たのか!?」
と警戒する師匠。目を凝らしている。
「どんなやつだ!?」
緊張する師匠。丸腰だからか、いつもより警戒態勢が強い。
「…なんか……太ったおじさんですね……パンツだけ穿いてて…なんか涎とか凄いです…」
「よしモブもういい。見るな。」
と後ろからモブの目をそっと両手で遮る師匠。
「くそっ…エクボ連れてくるんだった。」
舌打ちする師匠。
「師匠、なにも見えないです。」
「ああそうだな。お前にしか見えないから見て貰わないと困るんだが、あの悪霊を見せたくない自分が居てな。つまり胸中複雑なんだ。」
分かってくれモブ。と言われ
「はあ…」
と困惑するモブ。
「あの、でも…なんか近付いてきてるみたいなんで。」
手を離してください。と師匠の手を掴むモブ。
「気配の方に力を使うとか出来ないか?」
手を離したくないらしい師匠。
「…ちょっとやってみます。」
まがまがしい気配を放ちだしてる悪霊の方向に手を向ける。
はぁはぁと興奮しながら悪霊はジリジリ近付いて来ている。
超能力を飛ばし、手応えはあるものの、悪霊の気配は消えない。
「師匠やっぱり目隠しを……」
師匠の手を離そうとした時、後ろから悪霊の気配がしてゾクッと体が震えたモブ。
すぐさま師匠の手を離し振り向くと、師匠の真後ろにいやらしい顔で迫る悪霊が居た。モブはとっさに師匠を抱き寄せ右手を悪霊にかざし、超能力を使った。
ギャアアアアと断末魔を上げ悪霊が消えていく。「もう少しだったのにぃぃぃぃ」という叫びにモブはゾッとした。
もう少しとはなんだ。なにが『もう少し』だったんだろう。モブはゾクゾクと恐怖が背中を這うのを感じた。
あの霊は『なに』を狙っていたんだ。もしかして師匠を。
師匠を乗っ取るつもりだったんだじゃないのか。
そう考えたモブはぶるりと震え、恐怖の無意識から師匠を更に抱き寄せた。
「モブ?」
腕の中の温もりに安堵する。ホッと息をつくモブに、師匠は背中に腕を回した。
「よしよし、大丈夫だぞ。」
モブが変態悪霊に怯えて震えているのだと判断し、モブの背中をあやすように撫でる師匠。正解だが不正解だ。
しかしそれを訂正する者はいない。モブは安堵から師匠を抱き締め、師匠は安心させるためにモブをあやした。
「あっ。」
ガラリと扉が開き、タオルで急所を隠した若者が声を上げ硬直した。お互い見つめ合う。
若者は顔面蒼白になり顔を逸らしながら
「お、お、お邪魔しました…!!」
と慌てて扉を閉めた。キョトン顔で若者を見送った二人は直後に状況を把握し悲鳴を上げた。





・本日の記念日「脱出の日」と「風呂の日」でした。って脱出できてねえ。
悪霊おじさんはショタコンでモブを狙ってました。師匠に取り憑いてモブに迫ろうと企んでた。危ない。


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モブサイコ100




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