紅茶一杯。



ミニ豚とモブ
2017年3月2日 15:47

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※本日の記念日ネタ



モブが相談所の扉を開けると、そこには首輪と鎖を付けたミニ豚がいた。
モブに気付くなりピギーピギーと騒がしくなる。
「またかよ…って、おお!来たかモブ!」
困惑した師匠が別室から出て来てミニ豚を大人しくしようとし、ドアノブを握ったまま入り口で固まるモブを見付ける。
来い来いと手招きされてドアを閉めるモブ。ミニ豚は興奮してウロウロし鳴き声と蹄で相当煩い。
「師匠『ピギー!』でここにブ『ピギー!』ですか。」
「は?なんだって?」
モブは溜め息をつき、師匠に耳打ちする。
「ああ、お得意さんが『ピギー』1日だけどうし『ピギーピギー』結構『ピギー』が良くてな…」
「全然わからない。」
「隣に行こう。」
ミニ豚から離れる為に隣の部屋へ移る二人。

「つまり提示された金額に目がくらんで預かったんですか。」
「失敗だったがな。アイツも飼い主がいる間はめちゃくちゃ大人しかったんだぞ。猫被ってやがったんだ。」
「豚なのに。」
「…ことわざだからな。」
「今日仕事になるんですか、これ。」
隣からピギーと鳴き声が聞こえる。
「なるならないじゃない。今日は予約が1件入ってるんだ。だがアイツが居たんじゃ仕事にならん。というかすでにさっき来た飛び込み客もアイツが騒ぎ出して話が全然解らなかった。」
「そのお客さんどうしたんですか。」
「マジ無理。って言って帰ってった。50代くらいのオッサンだったな。」
50代くらいのオッサンがマジ無理とか言っちゃうくらいなのだから、相当なのだろう。とモブは同情した。
「というわけで、モブ。お前の出番だ。」
師匠がお散歩リードを持っている。
「留守番ですか。」
「お前が行くんだよ。予約があるって言っただろーが。」
「えぇ……」
嫌そうなモブ。気持ちは師匠にも解る。が、このままじゃ仕事に差し支えしかないのだ。
「これオヤツな。こっちが排泄物回収する道具一式。」
肩掛けバッグにまとめたのを渡された。
「散歩用だって飼い主が置いてったやつだ。」
「……オヤツ多くないですか。」
「まぁ、なんだ。2〜3時間ぐらい、ゆーーーっくりと、な?」
ポンと肩に手を置かれる。モブは青ざめていた。



ミニ豚を連れて外に出るモブ。早速暴れてうるさかった。
狂ったように鳴くので視線が痛くて、モブはさっさと河原かどこか人の少ない場所を目指した。
豚はひたすら鳴き叫んでいたがモブが抱えると暴れたのは最初だけで徐々に大人しくなった。
触り心地はあまりかわいげがないが、あれだけウルサかったのが大人しくなると、それだけでちょっと愛着がわいた。
最初の心証が悪すぎたせいかもしれない。

土手でミニ豚を下ろす。ミニ豚は雑草を嗅いで嬉しそうに興奮していた。
やっぱり自然の方が落ち着くのかな、とモブはミニ豚を眺めていたが、ミニ豚がリードを鬱陶しがるようになってまた騒ぎ出した。
癇癪を起こすミニ豚に慌ててオヤツをあげるとオヤツに夢中になって収まった。
ふぅと溜め息をつく。額の冷や汗を拭い、食べたら落ち着いてきたらしいミニ豚を眺める。
「なにやってんだシゲオ。なんだこの豚。」
「あ、エクボ。」
座ってミニ豚の様子を見ていたモブの側に、フラッと現れた緑色の悪霊。
「師匠が預かったんだけど煩すぎて仕事にならないから、散歩に連れてけって。」
「なにやってんだアイツは。すっかり便利屋になってんじゃねぇか。」
「金額が良かったみたいだよ。」
「……なるほどな。」



ミニ豚の散歩を終えて相談所に戻ったモブ。
「おー ご苦労さん、こっちも無事に終わったぞ。って、なんかエラく大人しくなったなソイツ。」
と師匠がミニ豚を見ると、ミニ豚がニヤリと笑った。頬には赤い丸。
「エクボ!?」
「はい。帰ろうとしたら暴れたので、エクボが入って抑えてくれるって。」
「コイツめちゃくちゃ甘やかされて育ってんな。ワガママしか言わねえ。」
「お前豚にも憑依できんのか……」
感心したようにミニ豚エクボをジロジロ確認する師匠。
ミニ豚エクボは師匠から体を背け、後ろ足で砂を掛けるかのように床をかいた。
「エクボ貴様……」
振り返りニヤリと嘲笑うミニ豚エクボ。
「いや今おまえの方がアレな状況だからな?なに偉そうな面してんだ。」
ビシッとエクボに指差す師匠。
「いいのか?俺様が憑依解いたらコイツがまた暴れ出すぞ。」
と言えば師匠はハッとし、揉み手で媚びてきた。
ミニ豚の鳴き声はかなり精神的に削られるほど煩い。
「そうだ霊幻。俺様に憑依を解かれたくなけりゃ、そうやって下手に出ておくんだな。」
ククク…と悪い顔で笑うエクボ。の頭を撫でるモブ。
「ぅおわっ!?なんだよシゲオ、今いいところだったろーが!?」
と怒るエクボ。を抱っこするモブ。
「足拭かないと。エクボ大人しくしてて。」
と膝に乗せるモブ。
胴を掴み尻を膝に乗せて居るのでミニ豚エクボの足がピンと前に出ている。
師匠が、そうだな。と雑巾でミニ豚エクボの足を拭く。
「やめろ、なんか恥ずかしいからやめろって!自分でやるよ!!」
とジタバタ暴れる。
「エクボ危ない。」
とギュッと胴を掴まれるとピタリと動けなくなる。
「シゲオ、ここで超能力はナイだろ……」
「エクボが大人しくしてくれたら解くよ。」
師匠の足拭きは妙に丁寧でくすぐったくなるエクボ。
「足震えてんぞ。」
「うるせぇ…!!」
プルプル震えてるミニ豚エクボが微妙に可愛く思えてくる二人。
「よし、もういいぞ。」
と足を解放し、ミニ豚エクボの顎を撫でる師匠。プルプルしていたミニ豚エクボがガブリと噛んでくる。
「いてぇ!!」
「エクボ!?」
「なにしやがる霊幻!」
「そりゃこっちのセリフだ!!」
とギャアギャア喧嘩になる師匠とミニ豚エクボ。
二人から離れたモブは呆然と喧嘩を眺める。外からだと師匠がミニ豚相手にひたすら大人気ない喧嘩…というか虐待をしているように見える。
「し、師匠……エクボも……」
オロオロするモブの後ろでドアが開いた。
「霊幻先生〜!うちのジョセフィーヌちゃんがお世話に……ジョセフィーヌちゃんッ!!?」
現れた飼い主の前では、格闘する師匠とジョセフィーヌ(エクボ)ちゃんの姿が。
「ギャアアアア!!ジョセフィーヌちゃんがぁああぁぁ!!」



「いやぁ危なかったな。」
「無事に怒りが解けて良かったですね。」
飼い主を笑顔で見送りつつ二人は小声で話した。間にエクボが現れる。
「俺様の機転のおかげだな。」
ふんぞり返るエクボ。
「あそこから除霊中にすり替えたのは凄かったです。」
「かなり怪しまれたけど、結局エクボ憑いてた訳だしな。嘘じゃない。」
「でもエクボ、あんなに派手に成仏したふりしなくても。」
「なに言ってんだシゲオ。一般人にも分かるようにやらねぇとアイツ等納得しねーだろ。」
「確かにあの神々しさまであったエクボの昇天で納得したからな。」
「俺様の演技力をなめるなよ!」
ドヤ顔のエクボ。
「はいはい偉い偉い。」
とエクボの頭をポンポン撫でる仕草をする師匠。
「テメェ!続きするかこの野郎!」
と師匠の後頭部を小さな手でポカポカ殴るエクボ。
「はっはっはっ 効かん効かん。」
と笑い飛ばす師匠。





・エクボって生者触れたっけ?触れたとしたら、あれだ。師匠一般人だしエクボ優しいので何万分の1の力で(手加減して)殴ってるんだよって事で。

ミニ豚エクボが途中から可愛く思えてきて戸惑いました。
ミニ豚エクボが師匠にドシンドシンぶつかりに行くのとか可愛くていいですよね(師匠はいい迷惑だけど)
ミニ豚エクボ抱っこするモブとかいい……。
個人的にミニ豚は黒色で妄想してました。


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モブサイコ100




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