紅茶一杯。



○○しないと出られない部屋と師弟(リベンジ)@
2017年3月12日 00:04

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※一部R師弟によりパス有り
※女装注意



「ここか。」
霊幻と茂夫はとある廃アパートのドアの前に居た。依頼人はアパートの管理者で、幽霊が出るせいで工事も出来ないとの事だった。
「なんか見えるか?」
「微量の気配はありますね……でも、幽霊ともなんか……」
違うような。以前どこかで、感じた気配のような。
「とりあえず、調べるか。」
霊幻が預かってきた鍵を使い、ドアを開けた。土足のまま上がる。後から続いた茂夫がドア閉めると、バシッと静電気のようなものが部屋中に走った。
「なんだ!?」
瞬時に警戒する。しかし部屋は静まり返っていた。
「物凄い静電気か…?」
辺りを見渡す霊幻。茂夫は警戒して感知センサーを張る。すると、突然携帯が鳴った。気を張っていたせいか二人ともビクッと体が反応する。
「…誰だ。」
非通知からの電話に出る霊幻。ノイズが酷かった。
『あなた達を閉じ込めました。出たかったら指示に従ってください。』
ボイスチェンジャーを通した声が聞こえてくる。
「はぁ?何言ってんだお前。てか誰だよ、まず名乗れよ。」
霊幻が不機嫌になる。しかし相手は気にとめない。
『従わなければ出ることは出来ません。』
「師匠…誰からですか。」
霊幻の側にくる茂夫。不安そうな顔をしている。
「モブ。ドアを壊せ。」
「えっ。」
「どうやらハメられたようだ。依頼人に文句言ってやる。」
携帯からは相変わらず『閉じ込めました』と『出たければ従ってください』を繰り返している。
茂夫は霊幻をチラチラ見ながらも、ドアに手のひらを向ける。
「あの、本当に…」
「ああ。責任は俺が取るから気にするな。ドアを破壊しろ。」
顎で促す。茂夫は力をドアに当てた。
「あれっ。」
しんとしている室内。
「モブ?」
「…全然手応えがない。」
嘘だろマジかよ……と、焦りの色が浮かぶ霊幻。
「おいアンタ、一体なんのつもりでこんな下らない事してんだ。要求はなんだ。」
電話相手に問う。
『要求はひとつです。』
相手からの要求を聞いていた霊幻の顔色がみるみる怒りに染まっていく。
「師匠……」
こめかみがヒクついている霊幻に不安気な茂夫。一体相手から何を言われているのだろうか。
その後話が終わったのか携帯を耳から下ろした霊幻は、俯き加減で表情が分かりにくいまま歩き出した。
「師匠?」
窓の側に来ると、近くにあった椅子を掴む。そして思いきり窓に振りかぶった。
しかし椅子は跳ね返り、霊幻は衝撃に手を痺れさせ悶えている。
「師匠!大丈夫ですか!?いったい何を…」
駆け寄る茂夫に大丈夫だ、と返すと窓を睨む。
「絶対にここから出るぞ、モブ。とにかく攻撃しろ。窓でも扉でも、壁でもいい。ここは檻みたいなもんだ。俺達は閉じこめられたんだ。」
霊幻の言葉にショックを受ける茂夫。霊幻は立ち上がり、側にあった地球儀を掴む。
茂夫も手当たり次第に力をぶつけた。


「…だ、駄目でしたね……」
ハアハアと二人とも消耗し座り込む。
そこから大の字に倒れた霊幻がクソッと悪態をつく。
「師匠、さっきの、電話……なにかヒントは、無いんですか…」
息を整えながら茂夫が問うと霊幻は苦い顔をした。
「…出れる条件は、ある……しかし……俺達にはハードルが高すぎる。」
というか、やりたくない。と言われ、条件を出されてるのに抗っているのだと知った。
「従った方が早くないですか。」
「従える内容ならな。」
一体どんな条件なのか。霊幻は教えようとしないし、時間は進む。夜になったら家族が心配するし、理由を知ったら律は激怒するだろう。もしかしたら霊幻に苦情が行くかもしれない。もしバイトを辞める方向に持っていかれたら。茂夫は焦った。
「師匠、条件ってなんですか。僕でも出来るかもしれない。師匠の代わりにやります。」
と立候補したが、霊幻は頑なに条件を言わなかった。そんな霊幻に苛立ちだす茂夫。
「師匠!僕は明日学校なんですよ!?」
「ああ、わかってる。」
解ってない!と茂夫は霊幻の胸倉を掴む。
「もしこのまま帰れなくて捜索願いとか出されたら、僕はもう師匠の所に来れなくなるかもしれないじゃないですか!バイトを辞めなきゃいけなくなるかもしれない!!」
「モブ……」
霊幻に跨り、胸倉を掴んでいた茂夫からポロッと涙がこぼれた。
「条件を教えてください!どうして教えてくれないんだ!!」
自分が頑なに隠したせいで不安が爆発したんだと気付く霊幻。茂夫の腕を宥めるように掴むと
「すまん。意固地になってた。お前に知られたくなかったが、知らなけりゃ不安だよな。悪かった。」
と謝罪した。



「……知りたくなかった。」
「だろ?」
膝から崩れ、四つん這いで愕然とする茂夫。顔は真っ青だ。
条件は『片方が女装し、もう片方はその女装相手に下着越しに口淫してイかせる事。』だった。霊幻が頑なになるのは当たり前だった。
「へ、変態だ……」
茂夫は四つん這いからうずくまる。
椅子に座っている霊幻は憐れむように茂夫を眺めた。ここから出たいし茂夫を出してやりたい。しかしその為に失う物が多すぎる。
霊幻は腕を組み、ずっと難しい顔をしていた。茂夫は小さく丸まったまま微かに震えていた。


「……やりましょう。」
目元を赤くした茂夫が体を起こし、覚悟を決めた顔で霊幻に言った。
「すまんが、俺はごめんこうむる。」
腕を組んだまま茂夫を見据えた。
「こんな悪条件を飲む気はない。何かしら別口を見付けるから、待ってろ。」
「待ってろって言ったって、もう10時じゃないですか!きっと家族が心配してますよ!!」
過度なストレス状態に茂夫が激昂する。霊幻は冷静に茂夫を眺め、小さく息をつくと
「すまん…」
と弱々しく謝罪した。茂夫が息を詰める。
「…そうか、電話か!」
「え?」
ポケットから携帯を取り出す霊幻。怒りと焦りですっかり忘れていた。
「電波は生きてんだよ!助けを呼べば良かったんだ!」
霊幻は嬉しそうに茂夫に告げる。茂夫もハッとして、頷いた。


「もしもし、芹沢か!?」
『あなた達を閉じ込めました。』
通話を切る。


「あ、警察ですか?」
『ここから出るには条』
通話を切る。


「…影山さんのお宅で」
『従ってください』
通話を切る。


どこに掛けても相手は全てボイスチェンジャー野郎に繋がってしまい、助けは呼べなかった。
携帯をぶん投げたい気持ちを必死に抑え、ポケットにしまう。
「すまん、親御さんに連絡だけでも入れたかったんだが…」
案の定ボイスチェンジャー野郎に繋がってしまった。茂夫は落胆しながら
「やっぱり、条件を飲むしか…」
と呟いた。
「お前にそんな黒歴史は作らせねぇよ。作ってたまるか。」
解決に向けて家捜しするぞ、と室内を探りだした霊幻。
茂夫は無言で隣の部屋に行った。


「師匠。」
声をかけられて振り向くと、隣の部屋から女子制服を着た茂夫が出て来た。
「お前なにやって…」
瞬時に察し、霊幻の顔色が変わる。怒りに茂夫を睨みつけ、ゆっくり立ち上がった。
「お前な…」
「僕はもう帰りたい。師匠は僕の為だって言ってくれるけれど、師匠がやりたくないのも解るけれど…………もう、帰りたいんです……」
俯いて、涙を流す茂夫。
「師匠が着るほうでもいい。僕はもう、ここから出たい。」
どれだけ茂夫にストレスだったかを痛感させられる。
こんな事までさせてしまった。霊幻は自分の不甲斐なさに舌打ちする。ビクッと茂夫が震えた。
「悪い、モブ。お前に散々偉そうな事言ってたのにな……」
そう、やるせなく苦笑すると霊幻は茂夫を迎えに行き、その手を取るとソファーに誘導し座らせる。
その前でしゃがみ込むと茂夫を見上げた。
霊幻に下から見つめられてドキッとする茂夫。そわそわする茂夫に悲しそうに笑って
「モブ。これからされる事は全部、明日までに忘れてくれ。あと…」
絶対にスカートを捲るなよ。と告げる霊幻。
「え…」
聞き返す茂夫をスルーして霊幻はスカートの中に潜った。



(続く)


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