紅茶一杯。



ポケットから石取り出す師匠とモブ
2017年3月24日 14:20

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※食レポエクボ(してない)



茂夫がポケットに手を入れると、覚えのない感触に気付いた。それを引っ張り出すと個包装ののど飴だった。
「なんだそれ。飴か?」
傍らに浮いていたエクボが興味を示す。
「………あ、そっか。律がくれたやつだ。」
先日寒さがぶり返して乾燥が強かった日、家を出る前に律が茂夫にくれたものだった。
礼を言ってポケットにしまい、すっかり忘れていた。
「ああ、あん時のか。って、まだ食ってなかったのかよ……もうそれベタベタなんじゃねぇか?」
顔をしかめるエクボ。袋を破くと茂夫は
「大丈夫そうだよ。」
と取り出して口に入れた。
「モブ、なに食ってんだ?」
ちょうど霊幻が洗い物から戻ってくる。さっき客に出したカップを洗いに行っていたのだ。
「律から貰った飴です。」
と空き袋を見せる茂夫。
「前に貰ったやつがポケットに入れっぱなしだったんだよ。」
とエクボ。
「…ベタベタになってないかそれ。」
ちょっと引く霊幻。
「大丈夫でしたよ。おいしいです。」
と平然としている茂夫。
「霊幻、お前はなに入れてんだ。」
エクボが霊幻のポケットの膨らみに気付く。
「これか?石だ。」
ほれ、とポケットから手のひらに乗るサイズの石を出す。
「なんで石が…」
困惑する茂夫。
「お前は幼稚園児か。」
ドン引きするエクボ。
「俺のじゃねーよ。依頼人のだ。」
とテーブルに石を置く。
「午前中に呼び出しの依頼があったんだよ。その依頼人は石集めが趣味で、河原だ山だで拾ってくるんだと。」
ソファーに座る霊幻に続き、向かいのソファーに座る茂夫。
「それで、この石を拾ってから良くない事が起きるようになってな。」
「良くない事?」
「ハゲたり、体毛が濃くなったり、彼女に趣味がキモいと振られたり……まぁそんなのだ。」
それは本当に石のせいだろうか?とは霊幻も思うが、なにせ客商売だ。
「まぁただの石だと思うが、一応塩でも盛っておこうかと思ってな。」
預かったんだよ。と言われて件の石を眺める茂夫。
食卓塩に過度な期待を寄せすぎだろう、と霊幻の塩頼みに呆れるエクボ。
「あ、でも憑いてますね。すごく弱いのですけど。」
「えっ マジで。」
「てか霊幻、お前の肩にも一匹乗ってんぞ。」
と指差すエクボに頷く茂夫。
「マジかよ!?ちょ、取ってくれ気持ち悪い。」
「態度が気に入らないから断る。」
「お前悪霊食うの好きだろ!ほら食レポしながら食っていいから。」
と肩を向けてくる霊幻。
「なんで食レポしなきゃならねぇんだよ!テメェ俺様をバカにしてんのか!?」
「今流行ってんだろグルメ漫画。悪霊グルメ漫画ってのも、なかなか斬新で良いんじゃないか?」
「ソレどこに需要があるんだよ!?」
と怒りにビキビキしているエクボ。
「いやぁ案外、一発当たるかも知れんぞ。地縛霊はネチっこくてまったりして苦味がある、とか。一度描いてみりゃいい。」
などと霊幻とエクボがじゃれあってる間に、サッサと霊幻の肩から霊を消し、石に憑いてる霊も消している茂夫。



「悪霊はモブが溶かしたから、仕上げとして塩を盛っておこう。これで除霊完了だ。」
とタッパーに石を入れ塩をたっぷりまぶして蓋をした。
「霊幻…お前はなにを作る気なんだ…?」
「は?清めてるだけだが。アフターケアだよ。」
呆れるエクボにキョトン顔の霊幻。
「石の塩漬け…」
不思議そうに眺めている茂夫。
「てか、おいお前まだなんか入れてるだろ。」
反対側のポケットの膨らみに気付いたエクボ。
「ああ、これか。煮干しだ。」
スルリと小パックの煮干しが出て来る。
「なんでだよ。」
真顔になるエクボ。
「別件で使うんだよ。」
真顔で返す霊幻。
「仕事で煮干しって……霊って煮干し食べるんですか?」
「さぁな。とりあえずこの煮干しは猫探し用だ。」
「お前もうすっかり便利屋じゃねぇか。」
と同情の眼差しになるエクボ。
「いまやペットは大事な家族だからな。料金はずむ奴が多いんだよ。」
「また金額に負けたんですね。」
と茂夫。
「勝ち負けじゃねーだろ、仕事は仕事だ。」
と格好いい事を言いながら、実は金額に負けていた霊幻。





・今朝仕事場くる時に道中でポケットから石出す師匠が浮かんで最終的に出来たのがこちらです。

まだだ…まだ焦る時じゃない。フライドチキン師匠は越えてないはずだ。
ポケットから石出してきた師匠にはビックリしたけど、それはそれで可愛いですよね。


コメント:0
モブサイコ100




前n 次n 戻る 上へ


-エムブロ-