紅茶一杯。



呪いとモブ(3夜目)
2018年11月17日 14:53


話題:二次創作文

※モブサイコ100
※見切り発車注意(終われるか不明)


気がつくと茂夫は輪になって両手をそれぞれ丸め、じゃんけんのグーの形を作って前に出していた。他の子供達も前に出し、そこで小さな輪が出来ている。今日の子供達は目がやたら多かった。耳の多い者もいた。茂夫は子供達の顔を意識しないように、目の前の自分の手を見ていた。
歌が始まり、本日の遊びは『ずいずいずっころばし』だと気付く。
歌と共に、一人が皆の丸めた手の中に指を入れていく。
この状況でどうやって霊幻を探そうか悩む茂夫。気配を探ろうにも、周囲の気配の圧が強くて、霊幻の微かな気配を掴めない。
歌は進み、誰かが誰かの指を掴む。それをぼんやり眺めながら、茂夫はどうするべきか考えていた。
「…ん?」
ふと違和感があり、遊びに意識を向けた。茂夫の知っている『ずいずいずっころばし』は、入れている指を掴んだりはしなかった。顔を上げると、掴まれた者は抜け、掴んだ者が次の歌い手(指を入れる側)になっていた。じわじわと人が減っている。これはいけないと茂夫は焦った。もしかしたら霊幻はもうこのゲームから抜けてしまったかもしれない。探そうと、その場を離れようとしたら酷く怒られた。勝手に抜ける事は禁じられているようだ。
(どうしよう、師匠が…)
じわりと汗が浮かぶ。ソワソワチラチラと辺りを見ている茂夫の手に誰かの指が入る。
(あ…)
茂夫が目を向けると、自分の丸めた手のなかにまだ指が入っていた。思わずその指をきゅっと掴む。
「師匠……見付けた。」
掴まれた指はまるで「見付かっちまったな。」と言うかのように残りの自由な指を曲げ、茂夫の手を包む様に添えてきた。


「………」
「シゲちゃんおかえり。」
エクボが覗きこんでいる。茂夫はエクボにただいまと返すと、自分の手を見た。
「なんだ?どうかしたのか?」
「……なんでもないよ。」
そう返しながら、夢の中での霊幻の手の感触を思い出していた。考えてみたら、霊幻の手に触れたことなどいくつあっただろうか。記憶の限りほぼない。
物珍しさからだ、と茂夫はこの奇妙な感覚を片付けた。



(3夜目おわり)

BLに……BLに持って行きたいんだ私は…!(未練)



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モブサイコ100




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