紅茶一杯。



呪いとモブ(5夜目)
2018年11月19日 22:12


話題:二次創作文

※モブサイコ100
※師匠の体の一部を回収する話
※見切り発車注意


気が付くと茂夫は相変わらず真っ暗な空間で、腰を下ろして体育座りをしていた。今日も始まった…と虚ろな目で思う。
とりあえず辺りを見回すと、向かいから声がした。
目を向けると真向かいに同じように体育座りをした人物が現れる。
「足指ジャンケンしよう。」
子供の声だった。足以外は鮮明でなく、シルエットだ。
(今日は左足だけか。)
左足だけが暗闇に淡い光を纏って現れている。ということは、今日回収するのは左足なのかなと安直に思った。

もしかしたら、これも千切らなければいけない事になるのだろうかと考えた茂夫は身震いした。しかしこの足から霊幻の気配はしない。茂夫は内心ホッとする。
子供は独特の歌を歌いながら足首を揺らしリズムを取る。そして最後に「ジャンケンポン!」と足指でチョキをだした。知らない歌に気を取られていた茂夫は出遅れる。
「それなに?」
「あっ………えーと、パー……かな。」
何も形が作れなかった茂夫が苦し紛れに答えると相手は
「じゃあ僕の勝ち!」
とはしゃいだ。負けた、と知ってハッとする。
負けてはいけないのに。もしかしてもう終わるのか。茂夫が青ざめると
「勝ち抜き戦ね。君はあと二回負けたら終わりだよ。5回勝ち抜いたら君の勝ち。」
勝ったら良いことあるかもね。と曖昧なご褒美を告げられるが、茂夫はそれよりもまだ挽回のチャンスがあることに安堵した。
もう負けられない。勝ち抜かなくては。ジャンケンは得意ではないが、負けたら霊幻が足を失ってしまう。
それは阻止しなければ。
気合いを入れてジャンケンに挑む。以前霊幻がジャンケンのコツを言っていた事を思いだし、アドバイスを元に一戦一戦挑む。
なんとか勝ち抜いた5戦目。
「嘘でしょ……」
向かいにある左足から霊幻の気配がする。まさか参戦してるとは。良いことって言うから今回は戦利品だと思っていたのに。茂夫は絶望した。
霊幻はジャンケンが得意だ。茂夫は勝てたことがなかった。どうしようと苦悩する。焦る茂夫をよそに歌が始まってしまう。
どうしようどうしようどうしよう。
茂夫は思わず、すがるような思いで顔を上げた。シルエットの人物は表情が分からないはずなのに、何だか笑みを浮かべているような気がする。
「し、師匠っ…」
失敗したらどうしよう。負けてしまったら。恐怖で震える茂夫の足に、何かが優しく当たった。見下ろすと、霊幻の足先が茂夫の足先に当たっていた。
俯いた事で、滲んでいた涙がひとつ零れ落ちてしまった。
足なのに、そこに感情なんて出せるとは思わないのに、何故か茂夫は励まされているような気持ちになった。歌が終わる。
「ジャンケンポン!」
の声で、茂夫は足指で形を作った。

「………勝った。」

思わず顔を上げ、霊幻を見ようしたらそこに姿は無く、地面には霊幻の左足が残されていた。それを拾い大事に抱えると、茂夫は深く息をついた。


「シゲオ、大丈夫か。」
えらく魘されてたぞ、と心配してくるエクボに大丈夫だよと返すと、ミッションクリアの達成感に力が抜ける。
「お疲れさん。あと2日だな。」
「……そういえばエクボ。どうしてこの呪いを知ってたの。前に掛けられたことがあるの?」
ならもっと詳しいアドバイスが欲しい。とエクボを見ると
「掛けられた奴を見た事がある。」
と返ってきた。
「その人は成功したの?」
「……まぁな。」
歯切れの悪い返事が気になる。が、眠くてそれどころではなくなった。もうすぐ起床時間だ。そろそろ起きなくては。茂夫はだるい体を無理やり起こした。




(5夜目おわり)

見切りなので未だにオチを見付けてない。出来ればBのLに持っていきたい。持ってけるといいなぁ。



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