:食満綾というか食満→(?)←綾→三木ヱ門みたいな。
:ほんのり文三木






「埋めるぞこら」
「休憩してただけですよ」

こんな月も高くのぼった夜更けに穴を掘る奴なんてそう沢山いてもらっては困る。そう思いながら食満が穴を覗くと、案の定綾部が鋤を抱えて座り込んでいた。休憩だと言い張る綾部はこちらを一瞥したもののまたどこかを見つめる。月と話でもしているのだろうか。月に照らされた彼の髪は光を浴びてただでさえ色素の薄い髪がさらに現実から遠ざけるような、そんな不思議な色を纏っていた。

食満は穴の脇に腰を下ろして大した期待もせずに一時の話し相手に綾部を選んだ。そうは言っても会話は始まらない。光を含む髪はいったい何種の色を持っているのか数えようかと思い始めたそのとき、綾部が口を開く。月との交信は終わったようだ。

「潮江先輩ってかっこいいですよね」

まだ頭がこちらに戻ってきていないのではと言いたくなるような唐突さだった。「どこが。俺のがよっぽど」とまで言ったところで思い出した。自分の好敵手の側にいる彼奴か。恋の相談でも持ちかけるのかと思ったがそうでもないらしい。ただ叶わない想いもあるのかと、口から出てしまったようだ。答えは、平等に地を照らすこの偉大なる月様ならば知っているだろうか。だが生憎食満は、人の恋路の行方は知らぬ。

「なあ綾部、」

不思議の色が動いて目は食満を見つめる。映るのは月の光と男の影。涙が出るのではないかと思わせるほど光に揺らされたその瞳をなんだか見ていられなくて、食満は先程と多分も違わぬ月に目を遣る。

「月が綺麗だな」

口からうっかり出てしまったのは食満も同じだ。真意は誰にもわからない。強いて言うなら月だけが知っているというところであろう。それでも綾部が揺れていた瞳を瞬き一つで色を変えふっと笑って立ちあがったのは上出来。夜はもう遅い。食満は綾部を穴から引っ張り出して長屋までのほんの僅かな距離の間だけ隣する。何かが始まる音がした。



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久々の文章で書き方忘れた



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