「三郎、」
「気安く呼ぶな」
君はいつだってそうだよ。僕だけ仲間外れなんだからまったく嫌になる。
「おい勘右衛門」
なのに君は僕を名前で呼ぶんだよね。僕には呼ばせてくれないくせに。ちょっとした差別だと思わないかい。
特別仲が悪いわけでもないのに仲間の中で僕だけが君を苗字呼びだ。いや待てよ、君は僕を仲間だと思ってる?もしかしたら彼にとっての仲間とは雷蔵と兵助と八左ヱ門だけか。もう目も当てられないくらい非道い話だね。あくまで僕の妄想だけれど。だけど君に尋ねたら本当にそうだよと返事を返してきそうなので一生訊かないでおこうと思う。
「なに?」
「何か話があったんじゃないのか」
人の名前呼びっぱなしにして放ったらかすんじゃねえよ気持ち悪いな。そう言って彼は僕に話を促す。
ああそうだった。言いたいことがあったんだっけ。何だったかな。もういろいろ考えすぎてどうでもよくなってきたような。でも彼の名前を口にした僕は何かどうしようもなく言いたいことを胸に抱えていたはずだ。
なんだっけ、と少しの間考える。彼はというとこちらを見もしない。今自分と過ごしているのは友人たちが皆何かの用で出払っていたからで、つまり僕は暇つぶし要員なのに、その相手がだんまり決め込むとつまらないのだろう。その気持ちは判るが、やっぱり僕は友人としての数には入っていないのだろうか。
ふと、ちらりとこちらを見た彼の瞳の中に映った自分自身の姿を見て、思い出した。君に言いたいことがあったんだった。
「ねえ鉢屋」
「あん?」
なんだ思い出したか、と気怠そうな返事を返される。
思い出しましたとも。今この瞬間がただの暇つぶしでなくなるようなとっておきの言葉を君に捧げるからよく聞けよ。
「好きだよ」
「へえ、そりゃあ初耳だな」
(ちょっとした宣戦布告だってば)
―――――
名前を自分で呼ばせてない三郎ってのもいいなと思いました。
ただ勘ちゃんのキャラが掴めません。
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