暗闇だった。
ただその中に、君がいた。
「泉、泉は俺のこと好き?」
目の前に立っている浜田が、姿はいつも通りなのにどこかがいつもと違う。
その目は確かに俺の方をみてるのに、俺を見据えていなかった。
何を突然、そう言おうとしたのに声が出ない。なんで。
浜田はおかしいままで、俺もおかしくなっちまったのか?
「好きだって言ってくれないよな」
違うんだって、声が出ないんだよ。そう言おうとしても、のどを通り過ぎた声になるはずのものは、ひゅっと風の音しかでなくてひどく虚しかった。
ああ、いつもは思ってないことばかり口にしてるというのに、自分が今伝えたいことを言葉に出来ないもどかしさといったら。
「俺は、俺のことをちゃんと好きだって言ってくれる人と付き合うよ」
なんだっ、て?
俺が普段何も言わないからか?とうとう愛想を尽かされた?
「バイバイ泉」
そう言って浜田は俺に背を向けてどこかへ行ってしまった。追いかける勇気すらない俺は、なんとも情けない。
目を開けると暗闇はもうそこにはなくて、いつも通りの色のある世界だった。
「泉なんか悪い夢でも見た?涙が…」
俺は泣いていた。夢を見たのか。そうか、あれは夢。悪い夢だったんだ。
「はまだ、」
俺は寝起きの掠れ声で浜田を呼んだ。
「んー?」
浜田はここにいる。そうだ、今俺が呼んだら隣に来てくれて、ちゃんと俺を見据えてくれてるじゃないか。
「俺、お前が好きだよ」
どれだけ愛されてるとわかってても、さっきのが夢だとわかってても、やっぱり不安は消えなくて、俺が考える不安を消し去る最善の方法がこれだった。
つまり、自分の気持ちを相手に伝えること。本当は好きよりももっとずっと上だけど、今の俺にはこれが限界だった。
それでも浜田はわかってくれたはずだ。俺のことをなんでも知ってそうなこいつはそういうところがむかつくんだけど、そこに何度も助けられてる。
今だって浜田が何も訊かずに俺のことを抱きしめて「俺も、」なんて言ってくるもんだから、俺はやっぱりこいつが好きだって実感させられて、なんかむかつく。
―――――
なんかよくわからん話になった
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