魔王と勇者その25


勇者「さーて、お宝の正体って一体なんだったんだ?」

ゾンビ「これだーよ」アーウー

僧侶「杖?」

ゾンビ「ああー。多分だけどこれは、その昔伝説の魔道師が使っていたという暗黒の杖だなー」アーウー

僧侶「へえー。確かに見た感じ、禍々しい魔力を放ってるね」

ゾンビ「どうやら周囲の魔力を手当たり次第にかき集めて、それを持ち主の魔力に変える性質があるみたいだなー。そのせいか、実は洞窟の中でこれ持った時からものすごく体調がいいです」

勇者「あっなんかちょっと顔色が良くなってる!ゾンビなのに顔色いいから、逆に気持ち悪い!!」

僧侶「本当だ!全身傷だらけなのに肌がつやつやしてて気持ち悪い!!」

ゾンビ「まあそんなわけで、どうぞ。洞窟のお宝、確かに渡したよ!」

勇者「喋り方もなんか変わってる!!」

ゾンビ「それじゃあ約束も果たしたことだし、僕はこの辺で。ようし、力もみなぎってることだし、村までジョギングでもしながら帰るかな!!アディオス!!」

勇者「キャラまで変わってる!!」

僧侶「この杖の魔力が漏れ出して、ゾンビ量産してたのかー」



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ドラゴン「大変です!バーニングデーモン様が勇者達にやられました!!」

魔王「な、なんだってー!!」

四天王A「ふむ……」
四天王B「くっくっく、バーニングデーモンがやられたか……」
四天王C「やつは我ら四天王の中でもそこそこの強さ。」
四天王D「冷静ぶってるけど、正直動揺を隠せない」

ドラゴン「本人から聞いた話では、勇者には指一本触れられずやられてしまっったとか……」

魔王「なんということだ……」

側近(おかしいね。いかに勇者達が強かろうと、彼ほどの実力者が一方的にやられるなんて考えられない。もしかして、何か裏があるんじゃ……?)


つづく

魔王と勇者その24


盗賊「なんだか色々ご迷惑かけたみたいですいませんでした」

勇者「いやいや、別にいいよ。俺達大して何もしてないし」

僧侶「うん。本当に大して何もしてないし」

元四天王「任務に失敗した以上、私はもう魔族には戻れませんし、盗賊さんとどこかで暮らしていこうと思います」

僧侶「そっか。それじゃあね」

盗賊「はい!落ち着いたら連絡しますから!さようならー!」


……

…………

………………


僧侶「行ったみたいだね。」

勇者「とりあえず一段落したみたいだし、早速洞窟に挑戦だ!」

ゾンビ「あー、お前さんたちはここで待ってろー。多分、俺一人で行って宝物とってきた方が手っ取り早いだろー」アーウー

勇者「成る程。じゃあお願い」

僧侶「なんかそれやったら元も子もないような気が……。まあ楽だからいいけど」


……

…………

………………


ゾンビ「とってきたぞー」

勇者「お、ごくろうさん」

僧侶「何一つ苦労せずにお宝手に入れちゃったよおい。まあ楽だからいいけど」


つづく





魔王と勇者その23

元四天王「や、やっと洞窟の外に出てこれた……」

元四天王「まさか、洞窟から出るときに作動する罠まであるとは思わなかったが……」

元四天王「もう限界だ……立っていられない」ばたっ

ドラゴン「ええと、例の洞窟はこのあたりのはずだけど……あ、いたいた。おーい!!」

元四天王「ど、どらごんか……」

ドラゴン「うわっ!?な、なんて酷い怪我だ!!もしかして勇者にやられたのですか……?」

元四天王「ああ。情けない話だが、勇者に指一本触れられずこの様だ。奴は恐ろしく狡猾な人間だ」

ドラゴン「あ、あなた程の方が一方的にやられるなんて……なんと恐ろしい。あわわわわわ」ガタガタ

僧侶「ええと、このあたりに洞窟があるはずなんだけど……」

勇者「お、あそこにあるのがそうじゃないか?……ってあの時のドラゴンがいるっ!?」

ドラゴン「わわっ、ゆっ、勇者!?」

僧侶「な、なんでこんなところにドラゴンがっ!?」

ドラゴン「ひえええ、バーニングデーモン様ですら歯が立たないのに、私なんかじゃとてもかなわん!に、逃げろおーーー!!」ぴゅー

勇者「に、逃げた……?」

僧侶「よくわからないけど、助かったみたいだね」

勇者「ん?誰か倒れてるな。どうやら魔物みたいだけど」

僧侶「うわっ酷い怪我だ。もしかしてさっきのドラゴンにやられたのかな……?」

元四天王「ううっ……、その腕につけている紋章、貴様が勇者か」

勇者「うん、そうだけど。サインいる?」

元四天王「やはりそうか……認めたくないが完敗だよ。私は何もできなかった。あとサインはいらん」

僧侶(何もできずに完敗って、やっぱりこの怪我はドラゴンにやられたのか)

勇者(随分おとなしいな。どうやら村のゾンビたち同様、無害な魔物のようだ)

盗賊「あ、勇者さんたちと魔物さん見ーつけた!!ってわわっ、魔物さん酷い怪我じゃないですかっ!!」

元四天王「あ、あなたは昨日の!!どうしてここにっ……?」

盗賊「魔物さんのことが気になって、追いかけてきたんです!!」

元四天王「そうですか、ありがとう……。だが、あなたにだけはこの無様な姿を見られたくなかった……」

勇者「ん?二人は知り合いなの?」

盗賊「ええ。先日、私が勇者さんたちに命を助けられた後にちょっとありまして」

元四天王「い、命を助けられた……!?」(私は想い人の命の恩人を殺そうとしていたのか!!)

僧侶「へえ。それは結構な偶然だね」

元四天王(危うく自分の出世のために、盗賊さんを悲しませるところだった。私はなんという愚かな行為を……!!)

僧侶「しかし、盗賊の知り合いがどうして(ドラゴンと)戦いなんて無謀なことを……」

元四天王「返す言葉もない。出世目当てで(想い人の恩人に)戦いを挑むなんて、私はなんて馬鹿だったんだ。さあ、もういいだろう!とどめをさしてくれっ!!」

盗賊「と、とどめっ!?何を言ってるんです!?」

元四天王「盗賊さん止めないでください!!これは私なりのけじめなんです!!さあ勇者よ、一思いに殺してくれ!!」

勇者「ええっ!?やだよ、殺す理由なんてないじゃないか」

元四天王「な、何を言ってるんだ!!私は魔族だ!!貴様らの敵なんだぞ!!」

勇者「いや、そっちこそ何わけのわからないこと言ってるんだ。僧侶、彼に回復魔法かけてあげて」

僧侶「ほいよ。かいふくまほうー」ピコーン

元四天王「なっ!?私の傷を治していいのか!?」

勇者「え?いいに決まってるじゃん。盗賊の知り合いなんだし」

僧侶「せっかく助かった命なんだから、大事にしなよ」

元四天王(な、なんという器の大きな連中だ……!!)

僧侶「しかし、もう(ドラゴンのような)勝ち目のない相手に戦いを挑むなんて馬鹿なことはしないようにね」

元四天王「は、はい……!!もう二度とこんな(恩をアダで返すような)馬鹿な真似はしません!!」

盗賊「よくわからないけど、死ぬのを踏みとどまってくれたみたいでよかった……」

元四天王「盗賊さん、ありがとう……あなたのおかげで私は大事なことに気づくことができた」

盗賊「そ、そんな。私は何もしてないですよ」

元四天王「そんなことはありません!盗賊さん、私があなたと出会えたのはきっと運命だ!!よ、よろしければ私と、結婚を前提にお付き合いしてくれませんかっ?」

盗賊「えっ……?」

元四天王「だ、駄目ですか?」

盗賊「いえ!急に言われたからちょっと驚いただけで、勿論うれしいです!

元四天王「じゃ、じゃあ!?」

盗賊「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします!!」///

元四天王「や、やったあああああああ!!!」

勇者「おおー、なんかよくわからんけどおめでとう」

僧侶「うん。なんかよくわからないけど、とりあえず一件落着みたいだね」

盗賊「なんかよくわからないけど、勇者さんたちのおかげで恋人ができました!」

ゾンビ「騒がしいから馬車から出てきてみたら、なんかよくわからんことになってるな」


つづく

魔王と勇者その22


僧侶「そろそろ洞窟に出発しようか」

勇者「しかし、罠を大量に仕掛けてまで守られている『とんでもなくすばらしいお宝』って一体なんなんだろう」

僧侶「もしかして、洞窟で死んだ人たちがゾンビになって復活するのと関係あるのかな……?」

ゾンビ「あー、もしかしたら関係あるかもなー。とりあえず俺は馬車に乗っとくから、洞窟に着いたら言ってくれー」アーウー


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元四天王「そ、そろそろ体力の限界が近づいてきたな……」

元四天王「おのれ勇者め、苦労してやってきたのにいないとは。一体どこに隠れているんだ」

元四天王「もしかして、私は勇者の手のひらの上で踊らされているに過ぎないのか……?」

元四天王「とりあえずここに誰もいない以上、洞窟を出るしかないか」


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盗賊「そろそろおなか減ってきたなあ。」

盗賊「そういえばあの人(っていうか悪魔)、私の連絡先なんて知らないはずなのに『また後で連絡する』って、一体どうするつもりなんだろう」

盗賊「もしかして、こっちから会いに行かないともう二度と会えないんじゃ……?」

盗賊「勇者さんたちに用事があるみたいだし、洞窟に行ってみよう」


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ドラゴン「そろそろ決着ついた頃かなあ。」

ドラゴン「あの場に置いてきちゃったけど、あの人(っていうか悪魔)空飛べないし、一体帰りはどうするつもりなんだろう」

ドラゴン「もしかして、迎えに行かないとあの人(っていうか悪魔)魔界に帰れないんじゃ……?」

ドラゴン「勇者は洞窟にいるみたいだし、ちょっと様子を見に行ってみよう」


つづく

魔王と勇者その21



勇者「なーなー、ゾンビのおっちゃん。おっちゃんは洞窟の中の構造知ってるんだよね?」

ゾンビ「あー、大体は知ってるぞー。洞窟のお宝がなんなのかまでは知らないけどなー」アーウー

僧侶「宝のことは知らないんだ?」

ゾンビ「ああー。なんか一回死ぬと、宝とかそういうのに興味なくなっちまってなー。結局最深部まで行かず洞窟を出てきたんだー」アーウー

勇者「へえー。ゾンビになると、宝とかに無関心になっちゃうのか」

僧侶「ねえねえ。物は相談なんだけどさ、洞窟の案内してくれないかな?あそこの罠について詳しいみたいだし、是非お願いしたいんだけど」

ゾンビ「ええー、めんどくせーなー。そんなことやっても俺になにも得ないじゃん」アーウー

僧侶「うーん。じゃあお金払うからさ、いくらならいい?」

ゾンビ「いらねーよー。今の俺は金とか興味ねーんだー」アーウー

勇者「じゃあお金の代わりに秘蔵のエロ本ならどう?」

ゾンビ「俺死体だからさー。性欲とかねーのよー」アーウー

僧侶「え、えーと、なら水や食料、武器防具なんかは……」

ゾンビ「無気力な死人の俺にはそんなもん必要ねー」アーウー

勇者「えー……じゃあ、大臣のセクシーブロマイドとかはどう?」

僧侶「馬鹿。そんな金貰ってもいらない物なんて差し出しても……」

ゾンビ「そ、それはもしやっ!?ちょ、ちょっと見せてくれるか?」アーウー

勇者「ん?ほいよ」

ゾンビ「これは……!!間違いねー、伝説の超レアブロマイドじゃねえかー!!」アーウー

僧侶「……は?」

勇者「で、伝説?」

ゾンビ「王都の大臣が税金を使って製作したが、あまりに酷い物であるがゆえに国民から苦情が殺到、それが理由で販売中止、在庫は大臣がすべて自費で買い取って、結局一枚も世間には出回らなかったという、いわくつきのブロマイドだーよー」アーウー

僧侶「なんだその最低なエピソード」

ゾンビ「おれー、実はブロマイド収集が趣味なんだー。他のことは無関心になったけど、不思議とこの趣味だけは生前から続いててなー。まさかこのブロマイドを直に拝める日がくるとは思わなかったぞー」アーウー

ゾンビ「これくれるんなら洞窟案内してやってもいいぞー」アーウー

勇者「え?あ、ああ。じゃあそれでお願い」

僧侶「ま、まさかこんなのが役にたつとは……」



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元四天王「ふ、ふふふ……」

元四天王「やっと、やっと洞窟の最深部にたどりついたぞ……!!」

元四天王「勇者め、あれほどの数の罠を仕掛けるとは」

元四天王「さすがの私もちょっとくじけそうだったぞ」

元四天王「しかしそこはエリートの私!!屈強な肉体と精神力で、卑劣な罠もすべて(引っかかったけど)正面から受け止め、耐え抜いた!!」

元四天王「ふはははは!!勇者よ、ついに年貢の納め時だなっ!!」


しーん


元四天王「……」

元四天王「…………」

元四天王「………………」

元四天王「だ、だれもいない!!」



つづく
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