ドリプラ-スマホ版
気休めでしかないけれど…(Nrt…ナルサク)
20131209月 12:51
Nrt
ナル→←サク
シリアス甘?
―――――
未来捏造
…第四次忍界大戦、終戦後。決戦前日
「じゃ…さ。ちょっとお願い、聞いて貰ってもいい?」
顔を上げると、見たこともないナルトの表情にサクラの胸は動揺を示す。だが、それをはっきりと認識する間もなく二人の距離は急速に縮まっていった。そんな中、己が呼吸すら忘れ息を呑んでしまっていることにサクラは気が付く。
ナルトの唇がサクラの額に触れる。ほんの一瞬。そうして視界に入ったナルトは笑っていた。嬉しそうに笑う彼は満足感に溢れていて。だが、その後すぐに眉尻が下がり「ごめんな」との謝罪を述べるのだ。いつの間にか強張っていた体から力が抜けていく。心境はどうやら彼とは真逆のようだった。
「………いくじなし…。」
「へ?」
なんだか段々とイライラが込み上げてきて、どうしようもない。自然と俯き加減になっていた顔を上げ睨み付けるとナルトは瞬間、体を強張らせた。その勢いで胸ぐらを掴み力任せに引き寄せると今度はサクラが唇を寄せた。そのまま彼のそれを掠める。
ほんの少し開いた距離から顔を覗き込む。お互いの目に写る己がはっきりと認識出来るほどの至近距離。感情のままに空色の瞳に呟く。
「するなら…これくらいしなさいよ。」
言ってしまってからサクラは後悔した。これでは まるで、して欲しかったと言っているようなものだ。
突発的な己の行動や発言を思い起こし、途端に気恥ずかしくなったサクラは目を見開いて呆けているナルトに構っている場合ではなくなった。
「っ…帰る……!」
スクリと立ち上がり脇目も振らず玄関へと向かう。
「サクラちゃんっ!!」
強い力で腕を掴まれ、驚きのあまり条件反射で振り向いてしまった。ナルトも思いの外、力尽くになってしまったことに気が付いたが謝る余裕などない。
言ってもいいのだろうか。だが、言わなければ。保証なんてないけれど…それでも。
「終わったら…全部終わって……帰って…きたらさ、伝えたい事があるんだ。聞いて、くれる?」
その言葉にサクラは救われる心地だった。帰ってくると、そう口にしてくれたのだ。やっと。目の奥から熱いものが込み上げてくる。それを堪えるために拳を強く握り締めた。
「聞、く……聞く、から…っ!」
だから帰ってきて。そんな想いを込めて絞り出した声は震えていたけれど。
全てを聞き終える前に、いつの間にか距離を詰めていたナルトはサクラの体を抱き寄せた。
「ありがとう…。」
静かに紡がれた言葉は全身に染み渡っていくようだ。目尻から留まることの叶わなかった雫が頬を伝う。泣かないと決めた筈だったのに。少なくとも、今、彼の前では。やはり自分は忍失格だ、とどこか冷静な頭で考える。
その優しさに触れると甘えてしまうようになったのは、いつからだっただろう。どうにか甘えることのないようにと努力してみても、結局はいつも同じだった。今回もまた…。サクラは包み込む優しい温もりに縋り付いた。
fin.
20131207
話題:二次創作小説
……
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