外道な道を進む者、殺し屋。
自分や殺し屋を誇ってそんな道を進んでいる訳では無い。ただ、それが自分の進む運命だと思い進むだけ。誇りを持って進むべきなのかもしれない。
でもやっぱり、この職業に誇りを持てない。
「どうして、どうして父ちゃんが……!父ちゃんんんん!」
悪人にも悲しむ人間は居てる。影でどんな事をしてようが、家族を持って居たり、最愛の人が居たり、その人を求めている人が居る。
決して殺しに自分へ繋がる足跡は残さない。復讐される心配などした事もない。
「オイラが、仇をとるからね!父ちゃんの仇はオイラがとるから……!」
目をそらしていれば気づかない事だけど、私はそこから目をそらせない。そらしてはいけないと思っている。
私が人を殺めた数以上に私を恨む人が居るのだと。不幸に陥れられた人が居るのだと。
決してそれを私は忘れない。
「そんな事を気にしていればいつか足元をすくわれる。殺し屋さっちゃんの異名も廃れるぞ」
同じ殺し屋にこの気持ちを伝えても誰も理解はしてくれない。
皆そういう人が居る事を理解し、見ようとはしない。見てはこの職業を続けていけない事を理解してるから。
「いつか痕跡を残すという最大のミスを犯すぞ」
それでも、それでも私は。
「それに残された者の事を考えて何になる。自分が救われるとでも思っているのか?殺し屋は決して救われはしない。それを覚悟し、続けていかねばならん道。それが殺し屋だ」
そうかもしれない。自分のやり場の無い気持ちが救われたいだけなのかもしれない。
こんな事を思う様になったのは私が"幸せになりたい"と願ったからか、"人を愛したい"と思ったからか。
どちらにせよ、あの人に出会ったから。
人を救う事を知り、救って来ている、銀髪の彼に出会ってしまったから。
「人と話す時は眼鏡かけろっつってんだろーがァァァ!」
こんな私と知りながらも人と同じ様に接してくれる彼と出会ってしまったから。
「この依頼、受けてくれるな?ちとヘビーな相手だが」
「ええ」
それでも私はこの職業を続けるだろう。悪人を滅し、救われる人々も多くいるからだ。それも忘れてはいけない事実に変わりはない。
「あ、銀さぁん!」
私は今日も殺し屋さっちゃんとして進んでいく。