夢を見ているのかと思ったのです。
あまりにも急に、それなのに変わらずにあの人は笑ってくれたから。
「立向居!」
ああ。俺は夢を見ているんでしょうか。
日に焼けた肌がまぶしい。
ばっと両腕を広げたそこに、導かれたように飛び込んだ。
とたんに薫る、塩の匂い。
この人の好きな、海の。
またサーフィンしてきたのかな、なんて思いながら、猫みたいにすりよった。
「どうした?かわいいなー」
ぎゅうと抱き返されて苦しくなったけど、この息苦しさが夢ではないのだと気付かせた。
「つなみ、さん」
囁くような声だったのに、それすらこの人は拾い上げて、子をあやすように背を撫でて応えてくれた。
あいたかった。
あいたかったんです。
泣きじゃくりながら、何度も何度もそう伝える。
たびに、彼は額に温かな口付けをくれた。
「俺も、」
会いたかったよ。
鼓膜に届く彼の声が優しすぎて、俺は涙が一生止まらないと思いました。
あいたくてたまらない
(海の隔てる距離がもどかしいよ)
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男前な綱海さんと
綱海さんが好きすぎて泣いちゃうたちむ
title by.確かに恋だった