やおいサイト潰してから書きたい病が進行しすぎて手が震えはじめた
追記に
うんこみたいな文章です
!注意
男の子同士の恋愛
おk?→→→
※貞カヲシン
彼の声帯は機能していないようだ。ぱくぱくと、口を繰り返し動かして必死に何かを伝えようとしても、声が出なければ結局僕には何も分からない。彼の、シンジくんの瞳がゆっくりと細まる。何故分かってくれないのか、まるでそう言っているようだ。
「君が、君の声が聞こえないんだ」
表情が歪む。いつも強気で僕の言葉を跳ね返す彼の顔は泣きそうだった。彼の細い指が僕のシャツの胸元を掴んだ。苦しくはない。悪意もない。必死さは伝わった。
いつから彼の声は出なくなったのだろう。出会った最初の頃は普通に話せていたし、素っ気ない態度ばかりだったけれど、僕は彼と言葉を交わすのが好きだった。そう、好きだった。だからいくら面倒臭そうな顔をされても、あっちへ行けと言われても、僕はいつだって彼の側に居て彼の声を聞いていた。彼のすべてが好きで、その声さえも愛おしいと思うからだ。
周囲の雑音に掻き消されているわけではなく、シンジくんの声が聞こえない。言葉を伝えられないもどかしさに涙を流す姿は、初めて見るものだった。彼はあまり表情を動かさない。僕が笑顔で話し掛けても、だ。笑う顔も泣いた顔も見たことがない。そんな彼が僕の前で泣いている。ぽろぽろと透明な涙をとめどなく溢れさせて、胸元のシャツを掴む手を震わせて、泣いているのだ。
「どうして泣いてるの」
尋ねたらシンジくんはまた出ない声を出そうと頑張って懸命に口を動かした。けれどやはりそれは届かない。どうして彼の言葉を聞いてあげられないのだろう。行き場のない怒りが込み上げて、僕も泣いてしまいそうになる。すると僕の表情を見て悟ったのか、シンジくんが驚いたような顔をした。僕だって、彼の前で泣いたことなど一度もない。だから泣いてしまいそうな僕を見た彼は、驚きのあまりに涙を止めたのだ。
「なぜ、好きな人の声が聞こえないんだろうね」
震える声でそう言うと、突然シャツを掴んでいた彼の手が僕を引っ張った。バランスを崩して前のめりに倒れてしまいそうになる。このままだとシンジくんと一緒に地面にぶつかる、そう思った時、彼の香りが強くなった。そして僕が彼と倒れることはなかった。彼の唇が僕のそれに触れて支えられたからだ。
初めてだった。僕からこういうことを仕掛けたことはないし、彼からキスをされるなんて、有り得ないことだと思っていた。
「ばか渚っ、どうして僕の声が聞こえないんだよ」
柔らかい唇が離れると同時にシンジくんの声がした。懐かしい、何日ぶりかに聞いた愛おしい声。僕に対しては冷たいことしか言わないその唇は、なんともかわいらしい言葉を零したのだ。
嬉しくなった僕は涙で濡れた瞳を震わせているシンジくんを抱き寄せて、耳元で囁いた。
「シンジくん、声、やっと聞こえた」
「ここまでしないと聞こえないの」
「ありがとう、嬉しい」
「うるさい」
鼻をすすりながらいつも通りの生意気な言葉を吐くシンジくんは本当にかわいいと思う。そうだ、分かっていたことじゃないか。彼のこの言葉は、素直になれないからなんだって。僕はそんな彼が好きなんだって。きっと僕はいじけていたんだ。
「シンジくん、好きだよ」
「だからなんだよ」
そっぽを向いた彼の頬にはほんの少し朱がさしていた。彼の声がなくなったのではなくて、僕が彼の本当に分かりづらい愛情表現に耳を塞いでいただけだったのだと、そこで初めて気がついた。
貞のシンジはツンデレだからかわいい(^p^)