紅茶一杯。



鰹節削り器とモブ
2017年2月24日 23:39

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※本日の記念日ネタ


「あっ。」
空中を舞う鰹節削り器から削りたてのカツオ節が飛び出た。
それはモブが一生懸命に削ったものだったが、モブは反射的に削り器に超能力を向けた。攻撃対象として。
だって、その先に師匠が居たのだ。削り器が、師匠の顔面を目掛けていたのだ。
パニクっていたのは確かだった。冷静だったなら、カツオ節含め空中に止めて事なきを得ていたに違いない。
しかし豪快にすっ転んだモブは、足を滑らせた焦りと師匠目掛けて飛んでいく削り器に冷静な判断が出来なかった。
だから攻撃してしまった。だから削り器は空中分解した。
その結果は。

「……モブ。」
たこ焼き返しのピックを片手に目を瞑っている師匠。全身カツオ節まみれだった。まんべんなくカツオ節がまぶっているので目が開けられないのだ。焼き担当だったせいで熱気に少々汗ばんでいたのが更に災いした。
「すみません…」
モブは床に伏せたまま謝った。
腕をついて上半身は起こしていたが、超能力を使うために上げていた右腕は指先がしょんぼりと曲がっている。ついでにモブも俯いていた。
「とりあえず前が見えん。たこ焼きが焦げるから止めてくれ。」
と目の開かない師匠が声をかけるが、モブの居る方向とは全然違った。
「い、今すぐ止めます!」
慌てて立ち上がるモブ。たこ焼きをモブに託したのでピックを多分テーブルだろう場所に置き、漸く顔を拭く師匠。
やっと視界が戻った、と瞼をあけて確認出来たのは、目の前でたこ焼き器の電源を切るモブと、自分の周りに散らばるカツオ節と、自分に降りかかっているカツオ節だった。
「カツオ節くせぇ。」
と困惑する師匠。モブが謝りながらチマチマと師匠のカツオ節を指で摘み取っている。
「あの、色々すみません。」
カツオ節のこと、削り器破壊のこと。
「うん、まぁ。…怪我はないか?」
と自分に付いてるカツオ節をチマチマ取りながら訊く師匠。
「反射的にバリアを張ったので大丈夫でした。」
「そうか。ならよかった……ってコラ、そんなもん食うな。」
師匠の肩から摘み取ったカツオ節を勿体無い気持ちから食べるモブ。それを叱る師匠。
「えっ でも…勿体無いですし。ほら、あの、3秒ルールみたいな。」
「とっくに3秒過ぎてんぞ。床以外のは俺が食うからお前はやめとけ。親御さんに申し訳なくなるから。」
と言われ渋々集めるだけにするモブ。
「はい師匠。」
手のひらに集めたカツオ節からひと摘み取ると、師匠の口元に持ってくる。
「ちょっと待て。なんでお前自ら食わせようとする。」
「えっ。」
違うの?と言いたそうなモブの顔に呆れる師匠。
「なんで弟子の手から直接カツオ節食うんだよ。しかも単品で。」
と困惑する師匠に
「あっ すみません。」
と取り皿にたこ焼きを乗せ、カツオ節とその他トッピングを乗せ、つまようじを刺し再び師匠の口元へ。
「違う、そうじゃない。」
困惑しながら、ゆっくり首を振る師匠。






・モブなりに、せめてもの償いのつもりの『食べさせる』でした。


コメント:0
モブサイコ100




前n 次n 戻る 上へ


-エムブロ-