紅茶一杯。



無かった事にする師匠C
2017年3月1日 18:39

話題:二次創作文

※モブサイコ100
※モブ霊注意
※とても長い注意



目が覚めると病院のソファーに座っていた。頭を垂れていたせいか首が酷く痛んだ。
「ここは…」
モブが入院している病院だと気付き、時計を見た。夜7時過ぎ。窓の外は真っ暗だった。
「モブ…」
ふらりと歩き出す。モブに会わなくては。そして謝らないと。面会時間はまだ間に合うだろうかと思いながら覚束ない足で向かった。
病室の前で息をのむ。ノックして中に入ると、モブ以外誰もいなかった。
ベッドに眠るモブの痛々しい姿にジワリと目が潤んだ。
師匠はパイプ椅子をベッドの側に持ってきて座る。
布団の上に出されていた手に触れようとしたが、管やら包帯やらが可哀想で止めてしまった。
「モブ、ごめんな。俺なりに何とかしようとしたんだけどさ……」
駄目だったよ、と自嘲する。何とか、といったって夢だ。全て夢だった。
上手く行ったとして夢なのだから、現実は何も変わらない。師匠はただ、夢の世界に逃げただけだったのだ。
「最低だな、俺…」
項垂れる。情けなくて、不甲斐なくてモブの顔が見れなかった。
「お前にしてやれる事、なんにも…」
「師匠。」
はっきりと声が聞こえて顔を上げると、体を起こしたモブが師匠を見つめていた。
「なん……は?え?モブ?」
「はい。」
サラリと言われて、混乱する師匠。危篤だと聞いていた。こんな簡単に回復するか?そんなバカなと狼狽える。
「師匠。時空旅行どうでしたか。」
「……は?」
モブは師匠を真っ直ぐ見つめて淡々と話す。
「やっぱり、僕には師匠しかなかったですね。どんな形でも、もう師匠なしで生きる事は出来ないんだ。」
「モブ、おい。」
「師匠がどれだけ頑張ってくれても、僕にはやっぱり師匠が必要だった。あの日あの時、師匠に会わなかったとしても、どこか別の日に僕等は出会うんだ。師匠、これってもう。」
運命ですよね。
「腐れ縁だよ!!」
と師匠が反抗する。
「全部、お前が見せてたのか!?あの夢は、全部お前の!!」
動揺する師匠。
「ちょっと待て、えっ じゃあ、あれもこれも、全部お前知ってんの?」
不安気な師匠にこくりと頷くモブ。
「師匠がネグリジェ着てくれたのも乳首だけでイケるように」
「黙れ!!!ここどこだと思ってんだよ!?」
「師匠うるさい。近所迷惑ですよ。」
耳を押さえるモブ。
「お、お前な…!!」
真っ赤になって憤慨する師匠をスルーするモブ。
「ねぇ師匠。いい加減に認めてください。」
僕に師匠の居ない人生なんて無いんだと。
そう静かに言うと、手を広げる。
「師匠だって、僕なしでなんか生きられないくせに。」
拳を握る師匠。モブを見据え、一歩近づく。
「…お前、絶対に後悔するぞ。」
「だからしませんって。」
腕の中に入ってきた師匠を抱きしめる。まだ学生の体だから、師匠にしがみつくみたいな形になる。
「すぐに夢の時みたいに師匠を抱きしめられるようになりますよ。」
「ゆっくりでいい。夢のお前はかわいげが無いパターンが多すぎた。」
と観念する師匠。


「……って、夢かよ。良かった……」
明るい日差しが、見慣れた天井が。
師匠を安堵させた。とんでもない夢見たな…と朝っぱらなのにグッタリしてしまう。
長い長い夢を見たもんだ、しかも全部モブだけの夢。
「マジで夢で良かった……」
顔を手で拭う。全て夢だった。モブが事故に巻き込まれるのも、告白してくるのも。全て夢だったんだ。こんなに嬉しい事はない。
「てか、あいつにはツボミちゃんが居るからな。そこからまず疑うべきだった。」
調子を取り戻した師匠は腕を組み、うんうん、と頷く。俺とした事が。すっかり騙されたと笑う。
「さぁ起きねぇとな。遅刻しちまう。」
とベッドから出て顔を洗いに行った。

事務所でモブを待つ師匠。来たら今朝の夢を笑い話として話そうか迷っていた。
扉の外ではモブが
「……よし。言うぞ。」
と『何か』を意気込んでいた。





・最初に小学生モブと会わないように選択するループ師匠を妄想して、あと全部肉付けしたらめっちゃくちゃ長くなって泣けた。
とりあえず落ちはループです。師匠行ってらっしゃい。


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モブサイコ100




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