紅茶一杯。



呪いとモブ(6日目)
2018年11月20日 22:47


話題:二次創作文

※モブサイコ100
※師匠の体の一部を回収する話
※見切り発車注意



霊幻からバイトを休むように言われた。巻き込みたくなかったので茂夫は好都合として受け入れた。
部活や予定もなかったので早々に帰宅して、自室でぼんやり過ごした。重たい瞼を一瞬閉じる。しみる目を休ませる為だったが、気付くと夢に来ていた。
どうやら寝落ちてしまったようだ。
いつもの何もない真っ暗闇の中、茂夫は見回す。誰も居ない。待ってみても現れない。
どうしていいか分からず、間が持たなくて歩き出す。いつもと何だか様子が違う事に、茂夫は不安になった。
誰も来ない。何も出ない。この意味は一体なんだ。
終わったとは考えられない。まだ右足が残っている。霊幻の右足がどこかにあるはずだ。霊幻の気配を探すと真後ろから感じて、ギョッとして振り返る。
「遊ぼうよ。」
身体中に目がある少年が茂夫を見ていた。沢山の目が一斉に茂夫を見て、その視線にゾワゾワとしたがなんとか悲鳴を堪えた。
改めて見てみると、少年の右足にだけ目がなく、左足と比べると大変バランスが悪かった。というか長さが合わず左足が浮いている。これが霊幻の右足だ、と確信する。
「その右足、君のじゃないよね。返してくれるかな。」
茂夫が指をさすと少年は
「勝ったらあげる。」
と笑った。

その場に腰を下ろし、向かい合わせになると、片方の足を前に出す。輪になった紐ひとつをお互いの足の親指に引っ掛け、これを引っ張りあって綱引きをするという。
「足指つな引きだよ。ここの線まで引っ張って来れたら勝ち。他に、紐が外れても敗けだから。」
裸足の足の親指に紐を掛け、準備が整う。手を地面につき、身構える。茂夫が集中力を高めていると、少年が話しかけてきた。
「ねえ君さ、この足ってそんなに大事なの?」
「えっ?」
茂夫が顔を上げると、スタート!と少年が言い、グイッと引っ張られた。
「わっ!ちょっと、」
不意討ちに困惑しつつ、なんとか踏ん張る。少年は楽しそうだった。
「片足くらい、くれても良いじゃん。」
「だ、駄目だよ…!それは、師匠のだから……ッ!」
師匠は巻き込まれただけの、被害者だから。と茂夫は拒否する。
「君は頑張ったよ。だからもう良いんじゃない?」
「ダメだ、良くない…ッ!全部、集めないと……!」
グッと足を引く。かなり手強い。負けられない茂夫は全力で引っ張った。
「に……………肉改ッ!ファイトーッ!!!」
「はぁ!?」
気合いを入れた茂夫の渾身の叫びに少年はあっけに取られ力が抜ける。茂夫はそのまま勢いを止めず後退り少年を線まで運んだ。引っ張られ過ぎた少年は呆然として仰向けに倒れていたが、我に返るなり大きく笑い声をあげた。
「なんだよ今の!」
と笑い転げる少年に茂夫は大声を出した息切れで反応できず、ゲホゲホとむせていた。

「負けちゃったから返すね。あーあ、案外手強いなぁ。今回はおこぼれ無しか。」
残念そうな少年。
「…君が呪いの本体なの?」
「ううん。媒体だよ。」
少年が霊幻の右足を自分から千切り取る。それを受け取った茂夫は、大事に抱えた。
「目的はなんなの?」
本当に体が欲しいなら、勝負など関係なしに強行に出ているはずだ。
「さぁ。僕は知らない。手伝えばおこぼれで体が貰えるからやってるだけだよ。」
まぁ、今回の体はサイズが合わなすぎたから惜しくないけど。と言う少年に、やっぱり歩きづらかったんだと納得する茂夫。
霊幻の右足を抱えながら出口を探す。
(頭、右腕、左腕、胴体、左足、右足。これで全部かな。)
ようやく終わる、と安堵するが、そういえばエクボが「7つ」と言っていたような。
「まだあったっけ…?」
揃ってないパーツなど、あっただろうか。
「この呪いの目的はなんなんだろう。」
遠くにポツンと明かりが見える。出口のような気がして、茂夫はそこに向かった。



「おかえりシゲオ。どうだった。」
いつの間にか帰宅していたエクボが見下ろしている。
「回収できたよ。ねぇエクボ。7つって言ってたよね。でももう全部揃ったよ。」
「いいや7つだ。指とか欠けてなかったか?」
「え……確認してないや。」
「最後は小さいパーツかもな。見落とさないように気を付けろよ。」
「うん。」
あとひとつ。それを回収出来れば、この過酷な一週間が終わる。もうひと踏ん張りだ、と茂夫は気合いを入れ直した。



(6日目おわり)

オチどうしようオチ。
実は全然まとまってない。あと1話なのに。


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