話題:二次創作小説
ありえない設定の続きです。
追記へどうぞ!
――サッ
ふすまが勢い良く開き、あわただしく入って来たのは万斉さんで、晋助さんにこっそり耳打ちする。いつも余裕の表情を見せている二人なのに、状況が状況なのか顔が強張る。
私に気を使って話しをしているのは分かるし、聞かれてはいけない話なんだろうけど部屋を出る事は晋助さんの許可が……
「お妙」
部屋を出ようか出まいか考えていると晋助さんが腰をあげて、私の前に来た。今日の着物はいつもよりはだけていて、急に意識してしまう。私との距離が10センチも無い。こんな距離は初めてで、晋助さんのドコを見たら分からない。
「明日江戸を出る事にした。江戸を出るか、ついてくるかはテメーがテメーで決めろ」
「拙者達は今から外に出るので、お妙殿は夜を一人で済ましておいて欲しいでござる」
呆けてしまった。
ドコかで早く帰らなきゃと思っていながらも、ドコかでずっとこの生活が続くと思っていた。私が望めば晋助さんはずっとこの部屋に居てくれるんじゃないかと思っていた。
甘い考えの自分が許せない。
あのオーラを身近に感じすぎて忘れていた。彼は”危険”な人。そんな人が、真選組を敵視する発言をしていた人が、こんな所でのうのうと過ごしていける訳がない。
やっぱり私は逃げていたんだわ。
帰るタイミングを決める事からも、いつもの生活からも、晋助さん達からも。
彼等が何をしている人かを知ればもう一緒にいれない事になる気がしたから。銀さんの事だって聞きたい事はたくさんあるのに、聞いたらどこかへ行ってしまいそうだから。
そんなくだらないことから逃げていた。
「私は誰にも何も聞けない。逃げてばかりじゃない……! 晋助さんからも、銀さんからも……! 」
何が立派な侍の子よ。
立派な父上の、娘と名乗れる娘なんかじゃないじゃない。
続きます。